先日外出した際に立ち寄った書店で、アメリカのファッションドール雑誌'HAUTEDOLL'の表紙が目に止まり、購入しました。それもそのはず、表紙の人形は世界創作人形展のSuperfrockのデザインによるもので、内容も彼らのデザインがかなり紹介されていました。大人向けのファッションドールに特価したこの雑誌は外見などは、かってのDOLLS誌などとよく似ていますが、近年ページ数や広告数が激減した同誌のかっての姿を彷彿とさせるがごとく、広告ページなども賑やかです。しかしアメリカで実績のある人形店やギャラリーの広告は見られず、「スーパードルフィーUSA」以外、私にはなじみのないものばかりでした。人形の市場やディーラーがきれいに入れ替わっている感じです。
ページを繰っていくと、なんとなく暗澹とした気持ちになりました。スーパーフロックやロバート・トナー、ジーン、ブライスあたりはついていけるのですが、個人の「アーティスト」として紹介されているような「ドール」には、天野可淡をはじめ、日本の創作人形作家の作品のおいしいところ取りといった印象を強く感じるものがあります。その一人のウェブサイトを見てみると、昨今日本のギャラリーで「耽美」や「少女」をテーマに描かれるような「現代美術作品」のような平面作品を「Fine Art」として紹介、本人もアニメっぽいキャラクターを病的に自己演出しているようでした。2004年の「球体関節人形展」のあたりから、日本国内で人形の少女趣味や耽美的な傾向が受けるということで、作り手や売る側も一緒になってイケイケどんどんで行った結果がこれなのだと思いました。あきらかにその影響が見られる天野可淡や他の作家の作風も、ひとつのカラーとして樹脂人形に商品化されてしまっているのです。はっきり言って不快でしたが、もうこの流れは止まらないでしょう。