海外の人形作家が、ひとつの展覧会のために集うということが今までなかっただけに、世界創作人形展の成否や評価は私にとって、自分のしてきたことや、今後のことを考える上で重要な材料になると思い、この企画に取り組んできました。
また同時に、自分がメディアの一線から離れて時間を過ごしてきたので、また以前のように仕事をこなせるかどうか、自分自身の能力を見極める上でリハビリ的な企画でした。
その結果はここで書ききれませんし、今も考えていることはあります。
まずひとつ、確実に言えるのは、今の日本の繁栄が旅行者にもたらした東京の快適な環境が、欧米の作家から高い評価を得たことです。公共的な場所はどんどん清潔になってきてますし、交通のネットワークはすべて英語で案内がなされ、おいしくてリーズナブルな食事を得る場所はあちこちにあり、店も遅くまで開いている。人びとは穏やかで丁寧で親切。
日本人は空気のように享受しているサービス環境が、彼らにとっては驚嘆すべきことなのです。これは何カ国か旅行した経験から、私もそう思います。何度も「あなたは自分の国を誇りに思ってるでしょうね」とほめられ、その度に「ええ!」と私は日本国民を代表するような気持ちで答えました。(もちろん過ぎたるは及ばざるが如しで、清潔好きの弊害やらいろいろ批判したいところもありますが。)