2008年11月26日水曜日

「ドールアート展2008inうつくしま」の審査から


「この秋の活動報告-2」(11/18)を読んでいただいた方から、「人形にしか出来ないこと」を表していた入賞作について、お問い合せがありました。東京の成沢しのぶさんという方の作品です。
私が撮ったのですが、写真が今ひとつで申し訳ありません。
40cmほどのサイズで細身、普段着の男の子の姿だから色味も地味なので、会場をさあーっと流して見るとちょっと目立たないのです。関節人形で、ポーズはニュートラル。このニュートラルな状態で良く見えないと、関節人形のやるべきことはできていないといっていいでしょう。かつ、衣装に頼らなくても見せるべきボディバランスができていること。デフォルメする場合も含めてです。そして、本体にぴったりあって、出しゃばりもせず足も引っ張らない衣装の素材の選択、そして作り込みに神経が届いていること。人形は、衣装や装飾的な部分が大事ですが、本体との調和がとれていない素材や作りはすべて本体以上に自己主張してしまうものだと、作り手の方は考えたほうがいいでしょう。
他にこの方の作品では、多少荒めに見える浅黒に見える肌の塗装の仕上げは、寒さを表して肌の赤みをさして、筆の勢いが生き生きとして目に映ります。そしてとにかく、顔がとてもいい表情をしています。このまま作り続ければ、これから活躍する方になるのではないかと思います。
技術的な説明になってしまいましたが、私の主観から見れば、基本をおさえていて、いい人形だと思わせる作品でした。