2008年11月24日月曜日

ハンナ・ゲーツ

世界創作人形展の出品作家、ハンナ・ゲーツとは、ロシアのインターナショナル・ドールサロンでブースが隣り合いました。彼女とは数年ぶりの再会を喜び合いました。
欧米のプロの作家にとって、顧客層はアメリカとヨーロッパにあるので、各地で定期的に行われる大規模なフェアは作品発表の大事な機会です。だいたいが個人事業だから、作家は自分でフェアを渡り歩きます。トランクにめいっぱい人形を詰めて旅し、自分で搬出入をし、店番をして売買をする姿は行商人そのもの。彼らは力持ちで、納得のいかないやりとりには毅然と抗議をし、みな生き生きとしていてたくましいです。
ハンナは今回、大学教授のご主人と一緒に来ていました。あるとき主催者が、出品者に対して作家組織の勧誘に来ました。その組織は主催者が作ったものですが、私は会の概要や会費がかかるというのに申込書などの印刷物が一切無く、口頭で済ませるロシアのやり方をいぶかしがり、答えを保留しました。しかしハンナは、即答でした。「私はどんな組織にも入りません。私は私自身の組織の会員ですから」(もちろん、彼女は組織なんて持ってません)。
欧米にはNIADAをはじめ、然るべき組織がいくつかありますが、ソロで人形作家としてどこにも依らずに活動しているハンナの発言は、格好よかったです。あの不惑の精神は見習いたいと思いました。