2009年1月28日水曜日

ホピ・カチーナ人形展

先日このブログで書きました、渡辺純子さんが取り組まれているカチーナ人形の展覧会があります。

「ホピ・カチーナ人形展」」 
2/9(月)〜2/15(日)
於:ギャラリー悠玄
http://katsina.blog29.fc2.com/
http://katsinamanas.blog22.fc2.com/

詳細や他の展覧会情報は、右のサイドバーのドールフォーラムジャパンのウェブサイトもご覧頂けます。

2009年1月26日月曜日

黒谷都さんの新スタジオ


異色の人形遣い、黒谷都さんを2004年の「ドール・フォーラム•ジャパン 42号 〜傀儡女(くぐつめ)〜」で特集させて頂いたことがあります。当時、黒谷さんはご自身の稽古場と公演会場を兼ねた活動拠点「国立ラボ」の工事をしているところでした。取材はその工事現場で行われました。(写真) 彼女はどの劇団や組織にも属さないソロプレイヤーですが、彼女を中心にいくつかのユニットが生まれています。

前衛的な表現のせいか、女性だからか、人形劇関連のメディアの前面に浮上しづらい構造があるようで、彼女を中心に取り上げるメディアはDFJが初めてと聞いて、彼女の経験の長さと根強い人気を見るにつけ、私のほうが驚いたくらいでした。
しかし人形劇研究の第一人者、加藤暁子さんは黒谷さんに注目をし続け、最近の著書「日本の人形劇」(法政大学出版局)で、150年の人形劇史を解説する本文の最終部で彼女を取り上げました。最終部は著者が一番思い入れのあることを書くことが多いので、そうだとすればこのことは私も嬉しく思います。
この本では、DFJも参考文献としてとりあげられました。玉木暢子さんの「舞台の上の人形たち」(29号〜50号)で取り上げられた方々も紹介されています。
昨年、国立ラボでの公演がスタートしたことを知り、北井あけみさんと黒谷さんのユニット「ake_miya」の公演「モアレ」を見に行くために今回初めてラボを訪れました。公演を見ての感想や、そのときに人形劇について考えたことなど、私論を後日ここで書いてみることにします。
黒谷都さんや国立ラボの記録は、「genre:Gray」をご覧下さい。
         

2009年1月22日木曜日

写真構成「ホロコーストとガザ」

今日は仕事とは直接関係のない話題ですが、大事なことなのでご紹介します。
親愛なる茶飲み友達のあるはべさんは、社会における差別問題を自身内部の次元で深く思索している人です。
ときどき彼から、貴重な情報が寄せられます。今回のメールは、私個人の立場としてもこのブログに縁のある方に見て頂けたらと思いました。私は常々、イスラエルのパレスチナに対する暴挙が、彼らに被害を与えたヒットラー政権とどう違うのだろうと疑問を持っていました。あるはべさんからのこのメールをみて、我が意を得たり、と思いました。ご本人了解のもと、引用させていただきます。
非常に酷い写真が含まれていますので、ご了承ください。
身体イメージを自由に解体再構築することが多い人形作家の方は、特に加虐的なイメージを扱われる方は、こういう世界の現実の認識の上になされているものかどうかで、表現の重さがまったく変わります。
私たちはこういうことが、現在も世界のどこかで繰り返されている現実として受け止める感覚が鈍っていると思います。世界平和にはあまりにも非力な自分ですが、せめて脳内の贅肉を落とすことから始めたいと思っています。

〜以下引用〜

SOTT 制作・写真構成
「ホロコ〜ストとガザ」
   ↓
http://axisoflogic.com/artman/publish/article_29348.shtml

http://axisoflogic.com/artman/publish/article_29350.shtml

第二次世界大戦でナチの迫害を受けたユダヤ人。
その孫たちが今、同じことをパレスチナ人にしています。
白黒写真は、主にアメリカで入手できる歴史の本、百科事典、図書館、博物館などから再録されました。

〜引用終わり〜

2009年1月21日水曜日

新年会

先日、DFJの事務所も兼ねていたギャラリー「ノンクプラッツ」のイベントを影で支えてくれた人たちを中心に久しぶりに再会、新年会をしました。ノンクプラッツがあった頃は、持ち込み手料理などで夜通し飲み明かしたことがよくありました。その場所が今はなくなりちょっと寂しいですが、時代は変わります。それぞれの場所でそれぞれができることをしながら、今度はなにかあったら助け合う仲間としてまた駆けつけ合うことになるでしょう。



佐藤美穂さんの個展は、この不況にも関わらずたいへん好評のうちに終了したそうです。
ファンだけでなく、初めてみかけた人が会場に入ってきてしっかり鑑賞されていったそうです。
展示風景はドルスバラードの「過去の歳事」で見ることができます。
http://www.dolsballad.co.jp/

2009年1月19日月曜日

「くるみベビー」とオバマ大統領就任

フランス在住の大島和代さんから、「平和への願い」と題して作り続けている「くるみベビー」が、ついに1000体に達したとの連絡が今日入りました。日本でも写真や実物が折に触れ紹介されているものです。
なぜ今日か? 
明日はオバマ大統領の就任式です。大島さんはこの人形を千羽鶴のように千体つくることにご自分の平和祈願をかけてきました。お父上が原爆被爆者であった経験から戦争への恐怖は肌身をもって感じている大島さんは、湾岸戦争が勃発したときに地続きのパリで、ものつくりでしかない自分の無力さを思いとても落ち込んだそうです。しかし様々な本を読んで希望を取り戻し、「くるみベビー」の展示を通して世界平和の願いを訴えたいと考えるようになりました。その話は近々、アメリカDOLLS誌に掲載される予定です。

そんな折に誕生するアメリカ新政権。オバマ大統領による政治の変革に期待をかけ、就任までの彼の無事を願い、大島さんは今日までに目標の1000体を仕上げられたそうです。
100年に一度の経済危機や世界紛争の解決への希望の核に据えられるオバマ大統領の重責は、我々庶民が想像できるようなものではないと思います。既にほころびがでました。ガザへのイスラエルの攻撃に対して、クリントン次期国務長官を通してイスラエルを擁護する見解が出され、失望する人は多かったと思います。これは、アメリカという国のスポンサーである軍需産業を温存せざるを得ない限界を既に示してしまってます。
でもこれでは何も変わらない!
幸い、アメリカには自浄作用があり、自らの毒を自ら糾弾します。ガザ侵攻の悲惨な状況も、アメリカのニュースでは年末から昼夜問わずずっと流していました。これからはオバマ政権に期待するからこそ、方法や政策を批判する声もアメリカ国内で多くあがることでしょう。
これに対して日本のメディアの取り組みの反応の鈍さをずっともどかしく思っていました。さらに、日本の政治家もメディアも、国際関連になると日本がどうみられているか、日本がどう取り上げられたか、という話ばかりの自意識過剰気味な報道。もう、そういうレベルを脱してほしいと願います。せめて、日本のメディアは横並びの報道を、いいかげんに卒業してほしいものです。

2009年1月17日土曜日

佐藤美穂さんの個展

今、東京の松屋銀座で佐藤美穂さんの個展、絶賛開催中です。1月20日まで。
良質のファッションマガジンのように、佐藤さんの人形も、同じスタイルにとどまらず必ず時代を映して進化してますね。
いつもながら、顔が、特に目がとても魅力的でした。
佐藤さんのサイトのnoteも、ときどき楽しみに読ませてもらってます。
彼女は文章がうまい人だと思います。人形でとても人気のあるサイトですが、文章の魅力もあるのではないでしょうか。着飾らず何気なく鋭くものを書ける人だと思います。
ご本人が本をよく読まれているということもあるのでしょう。おしゃべりをすることがあると、いろいろなことに気づかされます。
世界創作人形展では、本人があえて避けていたファンタジーのテーマに挑戦とのこと。今から楽しみです。

2009年1月16日金曜日

押井守監督の「鉄人28号」

人形をテーマにしたアニメ作品「イノセンス」をお手伝いさせて以来、折に触れ押井守監督の作品を見させて頂いてます。昨日は舞台「鉄人28号」を見ました。押井監督が舞台演出にいつかは挑戦したいけど実現は難しそう、という話を御本人から聞いたことがあります。それが実現して、監督もさぞ喜ばれているだろうと思います。
舞台作品は押井カラーが色濃くでています。監督が好きな犬中心のストーリー展開においてはもちろんのことですが、アニメ作品でよく「難解」と指摘され睡眠波の発生源となっている70年代の学生運動の演説のような長い台詞回しは、70年代以降の新劇では珍しくないことなので、役者という肉体を通して自然の芝居の空間になじんでいました。舞台好きなファンが見る分には違和感を感じないと思います。とすると押井監督のアニメ作品というのは、日本の前衛演劇のメソッドに通じる要素がたくさんあったのだろうと推測することができます。
また監督の実写映画だと、アニメ作品のそれを応用しているからなのか、映像上の人物の動きの流れに、今ひとつぎこちなさを感じざるをえませんでした。(そういう意味では開き直って役者の動きを封じた「立喰師列伝」は正解だし、いろいろな意味で傑出した作品だと思います。自分がちょっと出演したから言うわけではなく、日本を代表するB級映画として評価されてもよいかと思います。)
舞台というものは、いったん走り出すと役者という生身の肉体がオーラを放ち、空間を支配します。今回の舞台では魅力的な俳優たちが存分に歌と演技を披露し、そのパワーに身を委ねられました。もちろん、押井作品に欠かせない川井憲次氏の音楽、舞台中央に添えられた巨大な鉄人の存在感は不可欠でした。特に、川井節ともいうべき流れるような重層なストリングスと、稼働していない状態の巨大な鉄人の虚ろさが絡み合って、どの押井監督に通底する独特なメランコリーがここでも確かに感じられました。
押井作品にしてはドラマ展開がはっきりわかり、歌と踊りあり、こんなサービスの行き届いた仕上がりは初めてなのではないでしょうか。
ひとつ欲をいえば、芝居は舞台と観客がつくるもの。一方的に情報を流す映像作品とは異なります。個人的にはもう少し気楽に、客席との距離の狭い芝居小屋でチープな感じで楽しみたかったかなあ、と思いました。

2009年1月13日火曜日

世界創作人形展 今後の取り組み

ただ今、広報活動を中心に準備を進めているところです。
また期間中には、来日作家との交流イベントを企画しています。
せっかく日本を訪れてくれる作家の皆さんに、技術や人形にまつわる話をしていただく機会を設けるつもりです。

また、実際に出品していただく作品写真を順次公開していくつもりです。
更新情報はこちらのブログでもご報告いたします。

2009年1月11日日曜日

ガザに平穏を

前にもこのブログで書きましたが、私がとりあげている創作人形は、平和でゆとりのある環境がないと生まれてこないものです。もちろん、創作人形作家の道を選んでハングリーな生活を強いられることはありますが、それでも社会レベルではゆとりがあり平和は維持されています。

イスラエルには創作人形作家がいます。
しかし、パレスチナやレバノンに、創作人形作家がいるという話は聞いたこともありません。

イスラエルの作家とは何度かやりとりをしたことがありますが、これは他意はなく、私個人が関心をもてない作品だったので、関係は続きませんでした。欧米の作家の作風と同様の作品でした。

今、日本で人形を話題にできる自分たちの幸福を、改めて感じます。
しかし今、ガザで戦火の下にある人々、特に子ども達に対して自分は非力でしかありません。
せめてこのブログを通し、あの人々の平和のために祈る力のひとつでありたいと思います。

2009年1月9日金曜日

カチーナ人形

カチーナ人形とは、アメリカの先住民、ホピ族が儀式に使う人形のこと。彼らが信仰する精霊のキャラクターの木製の人形ですが、ヨーロッパのダダイストやシュルレアリストたちが注目、アンドレ・ブルトンやマルセル・デュシャンもコレクションしていました。2005年にはドイツの美術家ホルスト・アンテスのコレクションを紹介する全国巡回展があり、DFJでも45号で取材しましたが、現代でも通じるそのデザインの斬新さや種類の豊富さには驚かされます。そしてなにより、愛らしく、人形好きな日本人の感性にもぴったり合うでしょう。
現代でもカチーナ人形はホピ族の職人によって作られています。その紹介に取り組んでいるのが、SW Japanの渡辺純子さん。
日本での大人のファッションドールブームに先行して、バービー人形の価値に着目、その世界の第一人者といってもいい人形のスペシャリストです。常に先鋭的なセンスで、ビリーボーイの「ミドヴァニィ」のプロモーションもてがけられています。
昨年はカチーナを扱うKatsin' Manas というブランドをたちあげ、専用ブログでは、多彩な精霊たちについて、個々に説明があります。2月には銀座で展示を予定されているそうです。ぜひチェックを。

2009年1月8日木曜日

石塚公昭さんから

黒人やジャズ・ミュージシャン、今は文士をテーマにひねりの効いた上等なユーモアセンスを感じさせる人形と写真作品を作り続ける石塚公昭さん。
しばらくごぶさたしていましたが、年賀メールに最近のお仕事の報告がありました。
東京の都営地下鉄にある「中央公論Adajio」の表紙を制作されています。

モデルがあるポートレートは、絵も人形も、どうしても作者本人を映し出すような「癖」のようなものが気になってしまうものが多いように思います。でも石塚さんのポートレート人形や写真は、そういうものを感じません。見た人によって感想が違うかもしれませんが、彼が愛すべきモデルに抱いている感情の「透明性」のようなものかと思います。石塚さんらしさを指摘するとすれば、その上質なユーモア感覚でしょう。洗練された噺家の落語のような。
彼の「身辺雑記」も面白いです。今は、小津安二郎を制作中、だそうです。

2009年1月6日火曜日

イマ・ナロディツカヤ

ロシアのイマ・ナロディツカヤの写真を、「世界創作人形展」のフォトアルバムにアップしました。
季節のせいもありますが、絵にしろ音楽にしろ、ロシアの作家が醸し出す深くあたたかなイメージは、なんという郷愁を帯びていることでしょう。そしてイマの作品は技術もデザインもしっかりしていて、かつ可愛くてユーモラス。いつまで見ていても飽きません。
彼女の日本での作品展示は今回が初めてではありません。1999年に、わがDFJが主催した「新世紀人形展」に彼女は応募し、大賞作家に選ばれました。この時の大賞作家は11人で、11人の審査員の名を冠した大賞のひとつを受賞したわけです。(審査は個人の主観的な評価の域を出ないという考えから、グランプリ大賞の枠は設けませんでした。)では、イマに大賞を贈ったのは誰か、というと、それは私です。外国人応募者で唯一の受賞者でした。地味でしたが「Who are you?」という作品は、彼女の今日の豊かな作品世界を暗示させるものでした。
ロシアで多くの展示を見ていると、説明が全部キリル文字なので誰のものでさえかも分からないものですが、面白いなと思った作品はたいてい、彼女のものだと後で知りました。
彼女もご主人と来日します。日本に来るのをとても楽しみにしています。

2009年1月4日日曜日

絶賛寄り道中

昨年から絶賛持ち越し中の宿題があり、正月早々、頭をかきかき、原稿書いてます。
「絶賛」は西村FELIZ語。DFJの「生きるって大変」連載時より、日常語になりました。彼の中南米の冒険記も、かな〜り危なおかしいけど、最近は彼が住む新宿のアパート近隣の怪しい住民観察記が面白いらしいです。更新の頻度は微妙らしく、それだけに貴重。うーん、読みたいと思いつつ、そこに行ったらはまずい。
そういえば、ロシアのイマ・ナロディツカヤからも写真が届いてるので、原稿が終わり次第、世界創作人形展のサイトにアップしたいと思います。
親父的駄洒落が止まらないのは、近所の茶飲み友達のひげきよさんの影響。
駄洒落マシンみたいなおじさんで、話をことごとく駄洒落で返されるので、こちらも駄洒落返しをしているうちに染まってしまいました。
さて、原稿に戻らねば。

2009年1月1日木曜日

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
今日は東京は晴れて明るい日でした。
今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

羽関チエコ