2009年12月24日木曜日

さらにウェブ1件

年末年始もない勢いで、レンピッカ展の図録編集を追い込んでおりますが、先月から制作していたウェブをただいま、開通いたしました。

京都在住の河野滋子さんのウェブサイトです。
http://kono-shigeko.com/

ご覧になった方は、長岡さん、大谷さん含め、ご覧になった方のご感想など頂ければ幸いです。

2009年12月19日土曜日

再掲ー澤原宏和さんの遺作展

DFJの古い読者の方はご記憶にあるかもしれません。体中のいかなる部分も関節のパーツにして、動きが自在な人形作りを独自に探求し、DFJ誌上展にいつも作品を応募されていた方がいらっしゃいました。神戸に在住の澤原宏和氏ですが、このたび逝去されたとのお知らせを奥様から頂きました。66歳だったそうです。
指の先々まで細かなパーツに分けた徹底ぶりに、1998年に目白で開催した「DFJ人形展」で作品を審査した四谷シモン氏が驚いてらしたのをよく覚えています。今思えば、技術志向のフィギュアブームの先取りともいえるようなことをされていたようにも思えます。
澤原氏はこのとき「演出写真部門賞」を受賞されました。(写真は24号での応募作で、DFJ人形展の作品ではありません。)
故人を偲び、遺作展が、神戸市垂水区城が山のご自宅で12月19日から23日まで行われるそうです。毎日午前11時から午後4時までです。
ご関心のある方は、当方までメール(右欄プロフィール掲載)かお電話(tel 042-395-7547)を頂ければご住所・お電話番号をお知らせします。
澤原氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

コヤーラ・クラブ

なんどもここでご紹介させて頂いている「チーム・コヤーラ」ですが、DFJを発行していたときのDM同封サービスを継続することになりました。
年に4回、ニュースレターと展覧会のDMを「コヤーラ・クラブ」にご入会頂いた方に発送いたします。
ニュースレターはコストの面から簡単な印刷物となると思いますが、コヤーラ・クラブの活動や、会員の方の作品講評など掲載していく予定です。

この会は、次世代のクリエイターの方々に中心になって頂いて、私がDFJで培ったネットワークやノウハウを生かして、作家が主体的に活動したりサポートし合うグループ活動を目指しています。海外にもこのネットワークを展開したいと思っています。既にロシアのポポヴァ姉妹が賛同の意を表しています。
DFJと違い、私はこのチームから事務局としての業務委託を受けながら、世話役のような形で一緒に活動をしていきます。

旧DFJ購読会員(50号発行時有効だった方)には、コヤーラ・クラブの発足を先にお知らせをさせていただきました。
まだ体制がすべて整っていないので、暫定的なシステムでお申し込みを受け付けております。連日、何人もの方から丁寧なお手紙や、喜びの声とともに、お申し込みを頂いております。ありがたいことだと思います。
私からもお一人ずつご挨拶させて頂きたいところですが、言い訳ですがレンピッカ展図録編集の追い込みに入っており、ここでご挨拶にかえさせて頂きたいと思います。
入会受付のシステムが整い次第、多くの方に呼びかけていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
年内にチーム・コヤーラのウェブサイトやこのブログで告知ができるように準備する予定ですので、これからもよろしくお願い申し上げます。

2009年12月17日木曜日

ウェブ2件

来月3月から開催のレンピッカ展の作業も大詰めに向かいつつあります。
私は図録のチームで仕事をさせて頂いておりますが、今まで絵画の展覧会に携わったことがないので、様々な意味で勉強になります。

ところでそちらも走りながら、縁のある方のウェブサイト制作のお手伝いをさせていただきました。開通したばかりですので、ぜひご覧ください。

島根の長岡哲生さんのウェブサイト

富山の大谷博子さんのウェブサイト

2009年12月14日月曜日

NYで 2



これもメトロポリタンで見ました。
以前、藪内佐斗司さんの作品集で女性のヌードの胴体の表層部を鎧に見立てた作品があって、それをみたとき面白いなあと思いました。これを見てそれを思い出したのですが、これはブロンズでできたギリシャの紀元前3世紀の鎧です。2300年も前にこの造形、デザイン、発想力があって、その時を隔てて目の前にこれがあるなんて、と、改めてメトロポリタン、すごい!面白い!と感じ入っておりました。

2009年12月6日日曜日

NYで 1

先ほど、先月に取材させて頂いた石岡瑛子さんのインタビュー記事を書き上げたところです。
帰国直後、新型インフル、コヤーラ・フェスと続いて執筆の予定がずれ込んでしまいました。
NYでみたこと、感じたこと、記事に収録できなかった石岡さんの興味深いお話も書きたかったのですが、こんなタイミングになってしまいました。
思いつくまま、お知らせなどの合間に書いてみたいと思います。

石岡さんのお部屋からはセントラル・パークが一望できます。「MOMAやメトロポリタンは私のアーカイブ、下駄履きで行けちゃう」とフランクにおっしゃってましたが、まさにそんな距離関係でした。取材のあとは出発までの時間をできる限り使って美術館を巡りました。
メトロポリタンは何度目かですが、面白すぎる! 半端な美術知識がついた身としては、どうしてこんなにすごくて面白いものがこんなに同じ場所にたくさんあるの、と言いたくなるコレクション。石岡さんのお好きなプリミティブ・アートの展示は面白かったです。年代を見ると、東南アジアなどから近年収蔵したようなものもありますが、素朴なおもしろさが失われていない。
DFJの「人形の風景」の千葉惣次さんが、今の日本の郷土人形が面白くなくなった理由に、ライフスタイルや進行、食べ物などが変わったことをあげてらっしゃいましたが、これらの作品を見ると、きっとそういうものが保たれているからこういうオブジェが生まれてくるんだなと思いました。アーティストなんかいらないじゃない、と思ったほどです。





上「パワー・フィギュア」コンゴ、19C後半 メトロポリタン美術館
下「蛇の頭飾り」19C-20C ギニア・バガ族 同美術館

2009年12月2日水曜日

コヤーラ・フェス終了

ご報告が遅れましたが、29日日曜日に「コヤーラ・フェス」は盛況のうちに終了いたしました。
ささやかなイベントでしたが、新しい体勢でひとつことを起こすのはなかなか大変なこと。スタッフや出品者の皆様のご協力で収支のあう形で展示を終了できたことを、チーム・コヤーラ一同深く感謝申し上げます。
この小さな集まりが、何かのエネルギーの塊となって確かな歩みを進めることができるように、私も力を向けていきたいと思っています。
コヤーラ・クラブの募集も、まだ一部の方にしか情報が届いておりませんが、それでも続々と入会希望者のお申し込みがあります。ありがたいことだと思います。
スタッフの反省会の後に、コヤーラのウェブサイトでも告知を行っていきますので、よろしくお願いいたします。

2009年11月28日土曜日

コヤーラ・フェス明日まで

昨日の初日は多くの方にご来場頂きありがとうございました。
なみのゆの皆様も、イベントの会場ご協力ありがとうございました。おかげさまで楽しくくつろいだ雰囲気で「ドバイ・ドールアート報告会」を終了いたしました。「おふろや接骨院」のPNFC療法の実演デモのおまけつき、肩こり腰痛の人々は見て聞いていてほしかったです!

コヤーラ・フェス、いよいよ明日までです!
明日は午後4時にクロースします。=>間違えました、展示は午後6時までです!
会場の様子を一部ご紹介します。
ヘナの実演もやってます。私もやりました。ちょっと妖しいタトゥー気分です。
また、コヤーラ・クラブの受付も始まりました。会場でも受け付けております。
コヤーラ・クラブとは、DFJが行っていたDM同封サービスをチーム・コヤーラが引き継いだもので、年4回ニュースレターとともに、展覧会のDMをお送りするサービスです。会員の方もDMを配布する際にはリーズナブルに同封サービスをご利用頂けます。会費は年間4回の発行で2000円となります。
詳細はまたコヤーラのウェブやこちらのブログでも改めてお知らせいたします。




2009年11月26日木曜日

コヤーラ・フェス明日から開始



明日から、チーム・コヤーラのお披露目イベント「コヤーラ・フェス#01」がスタートします。今日は飾り付けを終えてきましたが、それぞれリラックスした空気で創られたような楽しくいとおしい品々が並びました。
明日は、あの怒濤の「ドバイ・ドールアート展」の報告会も行います。
会場は4時から、展示会場「自由帳ギャラリー」から歩いて10分以内の銭湯「なみのゆ」の二回で午後4時から行います。明日はブログでは書けない、海外人形展の実情を会場でお話させて頂くつもりです。参加費は450円。予約不要ですのでぜひお越しください。(なみのゆの入口は普通の銭湯の利用客の方々のためのものですので、直接二階にお越しください。)
詳細は;
チーム・コヤーラ
なみのゆ
もちろん、3時から入浴もOK! 井戸水をくみ上げたアルカリ水のお湯は、ちょっとした温泉気分でなみのゆの自慢です。飛び込みセットもあります。イベントは4時からですので、お風呂好きな方はぜひどうぞ。
では、会場で皆様にお会いできるのを楽しみにしております。

2009年11月23日月曜日

コヤーラ・フェス

インフル騒ぎも早めのタミフルで軽快しました。熱が下がって2日たったので、戒厳令を自発的に解除いたしました。
四谷シモン氏にもお詫びの連絡、延期してまたやりましょう、と言われましたので、その時にはお知らせいたします。

自宅待機中も27日からのコヤーラ・フェスの準備は進めております!
ところで、残念なことに、アルゼンチンのPaola Zakimiさんの作品が展示に間に合わないとのことで出品中止になりました。日本のサブカルにも通じるユニークなセンスの水彩画や人形を作る人で、本人もとてもがっかりしていました。PCのトラブルで様々な記録を失い、当方とも連絡不能なうち発送予定日が過ぎてしまったようです。日本で必ず展示をしたい、という意欲のある方なので次のチャンスに期待しましょう。
もうひとつ、お詫びとお知らせですが、DMに記載した出品者名で、Noeさんと、このZakimiさんの名前がくっついてしまっていて一人の出品者に見えてしまいます。ここで訂正し、Noeさんにお詫び申し上げます。

会期中は、ヘナのタトゥーサービスのイベントもあります。中東では若い女性がカジュアルに楽しんでいるアクセサリーのようなもので、私もドバイやチュニジアを旅したときによく見ました。ドバイ博物館では実際に希望者に20分くらいかけて有料でペインティングしていました。私の知る限り、日本でこれをやるのを見るのは初めて! ご関心のある方はぜひチャレンジしてください。詳細は以下をご覧ください。
http://www.ab.auone-net.jp/~koyaala/index.htm

2009年11月19日木曜日

緊急のお知らせー明日の私のトークは中止

明日20日金曜日は、サロン・ド・シモンでお話をさせて頂く予定でしたが、昨晩アメリカから帰国し発熱、念のために検査をしましたら、新型インフルエンザでした。
自分にとっては症状はいつもの風邪と変わらず、熱も高くなく、既にタミフルを服用していますが、完全に熱が下がって48時間たつまでは保菌者扱いなので人前に出ることは自粛しなければなりません。
ですので大変申し訳ありませんが、明日は私のトークは取りやめとなりましたので、ご了承ください。
半年前までは大騒ぎでしたが、今は新型の罹患者はとても多いそうです。
皆様もくれぐれも、お気をつけてお過ごしください。

2009年11月9日月曜日

サロン・ド・シモン

先にお知らせしたことですが、今月20日に、四谷シモン氏の主宰する「エコール・ド・シモン」のイベントに、ゲストで出演させて頂くことになりました。
詳細はこちらでご確認ください。

シモンさんと気楽な対談のような形になると思います。
私はその直前に、来春開催の「レンピッカ展」の図録の取材のために、ニューヨークの石岡瑛子さんのお話を伺ってきます。その直後なので、そんなお話も混ざってくるかと思います。シモンさんに出張の話をしたら「ああ、エイコちゃんに会ってくるの?よろしく伝えておいて」というお言葉。どういうご関係だったのか、20日にわかりますね。
またそのすぐ次の週には、新しく立ち上がった「チーム・コヤーラ」のイベントがあります。そちらのお話もできると思いますし、きっとあっという間に時間がたってしまうのではないかと思います。もちろん、昨今の世界のBJD(球体関節人形)など、人形話あっての対談です。どなたでもご参加できるそうなので(申し込み先着順)、お時間のある方はぜひお出かけください。

2009年11月7日土曜日

訃報



DFJの古い読者の方はご記憶にあるかもしれません。体中のいかなる部分も関節のパーツにして、動きが自在な人形作りを独自に探求し、DFJ誌上展にいつも作品を応募されていた方がいらっしゃいました。神戸に在住の澤原宏和氏ですが、このたび逝去されたとのお知らせを奥様から頂きました。66歳だったそうです。
指の先々まで細かなパーツに分けた徹底ぶりに、1998年に目白で開催した「DFJ人形展」で作品を審査した四谷シモン氏が驚いてらしたのをよく覚えています。今思えば、技術志向のフィギュアブームの先取りともいえるようなことをされていたようにも思えます。
澤原氏はこのとき「演出写真部門賞」を受賞されました。(写真は24号での応募作で、DFJ人形展の作品ではありません。)
故人を偲び、遺作展が、神戸市垂水区城が山のご自宅で12月19日から23日まで行われるそうです。毎日午前11時から午後4時までです。ご関心のある方は、メールでご一報ください。
澤原氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

2009年11月1日日曜日

近況

いよいよ秋めいてきました。
私も11月のコヤーラ・フェスに向けて、チーム・コヤーラとともに準備を始めています。
この機会に、コヤーラから新しい企画をご提案させていただく予定です。旧DFJの会員の皆様(最終号が届いた方)には郵便にて、コヤーラ・フェスのご案内とその企画についてもお知らせさせて頂く予定です。同内容はこのブログでもご案内いたします。

その他に、11月20日(金)19:00−20:00に、エコール・ド・シモンの「サロン・ド・シモン」にゲストとしてお邪魔させて頂くことになりました。詳細が決まりましたらここでもお知らせします。

また、来年3月からbunkamura ザ・ミュージアムで開催される「レンピッカ展」の図録の編集をさせて頂いております。http://www.ntv.co.jp/lempicka/
来週には短期でNYに取材に行くことになりました。

ということで年の瀬前から慌ただしくなりそうな気配です。
締めとして、12月27日に私が作ったバンドのライブも行われることになりました。ただの酔っぱらいの和風ブルースバンドですが、ご関心のある方はご案内いたしますのでお知らせください。ライブの部分のタイトルは「リベンジ」です。デビュー戦のリベンジです。わかる方だけのネタでスミマセン。

2009年10月23日金曜日

チーム・コヤーラのウェブサイト!

先にここでも触れました、チーム・コヤーラの公式ウェブサイトが立ち上がりました!

http://www.ab.auone-net.jp/~koyaala/

「コヤーラ・フェス」を高円寺で開催いたします。
コヤーラ・フェス出品者はまだ若干募集しております。

お申し込み方法

お申し込みの際に、作品写真も見せて頂いておりますが、元気で楽しいイベントにしたいと思っています。ご関心のある方は、私、はぜきまでご連絡ください。
よろしくお願いいたします。

2009年10月16日金曜日

訂正

「第4回人・形展 2」のリポートで、「みつばち@BabyBee」さんと西織銀さんについて、作家名とユニットの構成を誤ってご紹介している点がありましたので、訂正して再掲しました。関係者の方には謹んでお詫び申し上げます。

2009年10月13日火曜日

第4回 人・形展 5

本来のひとがたの意味では、英語のフィギュアという訳語があてはまります。ドールではない人形がフィギュアであり、たとえば今回出品のなかでは石塚公昭氏、岡田好永さんのような「人形」はその範疇に入ります。日本語カタカナの「フィギュア」のイメージとはほど遠いものですね。石塚氏は最近では文士をモデルにした人形が文学関連のイベントでビジュアルによく登場します。岡田さんはどんな素材も扱える人ですが、今回は日本の伝統的な素材である桐塑にキュビズム的なフォルム、東西のエスプリをひとつのフォルムに調和させたユニークな作風を提示しました。センスアップされた空間でひとつ、ぽつんとあったときに、存在感を発揮するような作品です。
今回は2004年の東京現代美術館での「球体関節人形展」に出品した作家のうち、5人が出品していたことも見所といえるでしょう。あの展示を企画した私からいうと、あれはあの時点までの日本の球体関節人形「過去」をリビューし、未来を模索する意図がありました。ですから、彼らの「現在」を見るのは興味深いものでした。伽井丹彌さんや秋山まほこさんにおいては、球体関節人形のスタイルがそれぞれの創作にとって必然的な要素であり、ご自身のカラーがはっきり出ています。前出した月光社や井桁裕子さんはトルソや球体関節人形を、コンセプトにおいて使い分けていますが、井桁さんは今回は陶のオブジェのトルソのシリーズ、よねやまりゅうはFRPの兎や豚にタトゥーの柄を描き込んだ神像のトルソを出品しました。井桁さんは来年個展を予定されていて、またどんな新作を提示してくるのか楽しみです。
この展示をみて、人が、ひとがた造形に求めるものや価値を改めて考えます。やはり球体関節人形は日本人の心性にあっているのか、MICANさんや因間りかさんの作品を見ているとその健在ぶりを思います。元来、球体関節人形は機能性もしくは量産を前提に考えられた造形で、その意味ではコマーシャリズムと深く関わりがあるのですが、この40年来日本の創作人形においては、日本人の人形に対する精神性と技術への探求心が球体関節人形と結びついて、欧米では見られないような展開を遂げたのです。

2009年10月12日月曜日

第4回 人・形展 4

宇野亜喜良氏も人形への関心が高く、一見して指人形とは思えない3点の作品にタブローを添えて、小さいながらも舞台的な空間が広がっています。薔薇の模様が描かれた美女の小品は、ベルメールへのオマージュでしょうか、球体関節人形の概念を遊びながら宇野氏らしい官能を感じさせるものです。
概念を自由な造形に表出するのが、ひとがた造形のおもしろさの醍醐味だと思います。その点、ロシアやオランダの作家の発想は新鮮で刺激的です。今回の人・形展では海外勢が初参加、ロシアのサシャ・ペトロヴァの人形は頭部が極端に大きく、いびつだけど可愛いとも思えるバランスがあり、オランダのイボンヌ・フリプシの人形からはファンタジー本場の造形や色使いを見ることができます。ファンタジーという点では、DMで使われた林美登利さんのサーニットの「白蟻姫」は異様で可愛く、かつ白蟻の不気味さに重量感があり、そのミスマッチ具合が写真で見るよりずっと迫力がある力作でした。これは実物を見なければわかりません。丁寧で非常によくできた作品です。
「人・形展」は、素材や技法のアプローチを比較して楽しむには絶好の展示会なのですが、今回の技術レベルは大変に高いものです。江戸張り子の技法に忠実な荒井良氏の仕事の精緻さには、誰もが息をのむことでしょう。中島清八氏のマスクのシリーズ作品も素材こそ現代的なものですが、能面というモチーフを扱い現代人の表情が冷たく美しく切り取られています。それは新井氏の作品や、青野明彦氏のエレガントなマスク作品とともに、繊細な緊張感を会場にもたらしています。

2009年10月10日土曜日

第4回 人・形展 3

フィギュアやドールと呼ばれるマーケットが現状ほどに拡大する前から、Dollhouse NOAHさんは創作人形としての発表に併行してワンフェスやデザインフェスタなどで作品を発表し、コミックやポップカルチャーにつながるファンの裾野を広げてきました。NOAHさんはこの分野ではパイオニア的な存在です。ボークスからスーパードルフィーが出たとき、NOAHさんのコンセプトによく似た人形が出てきたと思ったものです。
創作人形界もプラスチックドールやフィギュアから刺激を受けながら様々な広がりを見せていますが、カウラさんはその申し子的な存在といえるでしょう。大竹京さんに人形製作を師事、魅力的なゲームキャラクターにもなりそうな球体関節人形で、今後の活躍が期待される新人です。
フィギュア的なアプローチでも、特殊メイクの世界で活躍するピエール須田さんの牛を模した豊満な女性のフィギュアや、黒川早恵美さんのサーニットのポートレートドールは、お二人の在米経験からか、アメリカンカルチャーを思わせるユーモアを感じます。
創作人形でもファッション性を魅力とする作品は、ドールファンにとっても関心が高いものでしょう。普遍的に女性の心をとらえるものでもあります。この展覧会へは初出品となった因間りかさんのビスクドールの迫力は堂々たるものがあります。宇野亜喜良氏の舞台美術に関わる野村直子さんの可憐で上品なセンスも見逃せないところです。

2009年10月9日金曜日

第4回 人・形展 2

世界的にも冷え込んでいるといわれる人形市場で、勢いが目立つのがプラスチック・ドールやフィギュアです。第一回からこの分野については、DFJで「ドール・ドール・ドール」の連載を執筆した古村昌史氏のアドバイスで、その分野で活躍する方々に出品していただいてきました。
この分野ではキットを組み上げカスタマイズの技も競われていますが、「人・形展」は原型からフィニッシュまでを手がける実力のある方が前提となります。常連の桜文鳥さんに加え、今年は二人組のユニット「きのこジュース」や西織銀さん、みつばち@Baby BeeさんとHIrokoさんのユニットが初参加となりました。彼女たちが出品した作品は、みつばち@Baby Beeさんがデザインと原型制作したパジコが市販予定の球体関節人形キット「Alice Rock」をベースに特別にご本人がカスタマイズ、Momokoドールの立ち上げに関わったHIROKOさんが衣装制作したものです。また、石山裕記氏のフィギュアにおける技術力やユーモアな造形も見応えがあります。フィギュアが概念の直球描写にあるなかで、赤城時雨氏や月光社の作品はフィギュアと起点を共有しながら、自らの男性の視線を相対化しているようにみられました。それぞれに意図的な作意には、現代美術作品としても通じる要素を感じます。月光社の作品は大きいビスク作品ですので、技術・素材的にはフィギュアの範疇にくくるのは妥当ではないかもしれませんが、そのボディ・外見、かつ素材にロリータへの欲望を反映させている点で、私はフィギュアとの共通性を見ています。なおかつ創作人形の流行の体裁をとりながら人形における玩具性を抽出し、露骨にしている点に作家の意図があるのかと想像します。深読みかもしれませんが、そうだとすれば、創作人形にそこまでのロジックを託す作家は希であり、それこそ日本発のポップアート作品としての参考例になるのではないかと思います。

2009年10月8日木曜日

第4回 人・形展

丸善丸の内本店ギャラリーで開催されている「人・形展」の初日に行きました。
第一回の企画の立ち上げを担当させていただき、ドルスバラードの主催で今年で第四回目を迎えます。
本欄に今、ポップアートと人形について考えをめぐらすことに、参考になる展観となりました。
本来この展示は、市場の方向に刺激を与えるため、ひとがたの造形の楽しみを様々なアプローチから紹介する試みとして始めましたもので、今年の出品者の作品ははその意向を反映するものになっています。
ドルスバラードのウェブサイトで全貌を見ることができます。

また、新しく立ち上げましたHAZEKI officeのウェブサイトにも会場写真をアップしました。
都合により出品者全員の作品写真を掲載できなかったことをあらかじめご報告いたします。
「人・形展 出品作品」(HAZEKI office撮影分)

2009年10月5日月曜日

ポップアート? 5

模倣したいくらい憧れる作家をリスペクトすればするほど、その人の作風をなぞって知名度をあげれば、かえって自分の価値を下げることになってしまうでしょう。かって胡粉仕上げの伝統的な技法で丁寧に人形を作る人が、一番尊敬する人形作家として天野可淡の名をあげたことがあります。可淡の真似をしようものなら自分がつぶれてしまう、、、そういうようなことを言っていたと思います。そういう感性ほど、真の表現者に求められるものだと思います。
もともと創作人形に限らず、表現された作品からは、模倣と商品価値の抽出が繰り返し行われているものだと思います。「球体関節人形展」の頃は、スーパードルフィー(SD)が日本のどの人形作家の特徴を抽出したものか、よく話題にあがっていました。球体関節人形の制作の仕上げだけを楽しめるSDのシステムは市場の支持を受け、爆発的に市場を拡大しアジア、欧米へと波及していくわけですが、それをさらに発展させたのは韓国の企業です。市場規模が大きくなるほど、安易でおいしい部分だけが抽出され、商品に反映されていきます。そういうことは、原初の表現に思い入れのある人間はプロデュースできないと思います。日本の人形作家やメディアは、私も含め、今にぎわっている海外のBJD(球体関節人形)市場にとって、さぞかしおいしい素材を提供し続けたことでしょう。
皮肉なことですが、これだけの状況と市場が整えば、ドールはポップアートの美術品に再利用される可能性がでてきたともいえます。

2009年10月4日日曜日

ポップアート? 4

先日外出した際に立ち寄った書店で、アメリカのファッションドール雑誌'HAUTEDOLL'の表紙が目に止まり、購入しました。それもそのはず、表紙の人形は世界創作人形展のSuperfrockのデザインによるもので、内容も彼らのデザインがかなり紹介されていました。大人向けのファッションドールに特価したこの雑誌は外見などは、かってのDOLLS誌などとよく似ていますが、近年ページ数や広告数が激減した同誌のかっての姿を彷彿とさせるがごとく、広告ページなども賑やかです。しかしアメリカで実績のある人形店やギャラリーの広告は見られず、「スーパードルフィーUSA」以外、私にはなじみのないものばかりでした。人形の市場やディーラーがきれいに入れ替わっている感じです。
ページを繰っていくと、なんとなく暗澹とした気持ちになりました。スーパーフロックやロバート・トナー、ジーン、ブライスあたりはついていけるのですが、個人の「アーティスト」として紹介されているような「ドール」には、天野可淡をはじめ、日本の創作人形作家の作品のおいしいところ取りといった印象を強く感じるものがあります。その一人のウェブサイトを見てみると、昨今日本のギャラリーで「耽美」や「少女」をテーマに描かれるような「現代美術作品」のような平面作品を「Fine Art」として紹介、本人もアニメっぽいキャラクターを病的に自己演出しているようでした。2004年の「球体関節人形展」のあたりから、日本国内で人形の少女趣味や耽美的な傾向が受けるということで、作り手や売る側も一緒になってイケイケどんどんで行った結果がこれなのだと思いました。あきらかにその影響が見られる天野可淡や他の作家の作風も、ひとつのカラーとして樹脂人形に商品化されてしまっているのです。はっきり言って不快でしたが、もうこの流れは止まらないでしょう。

2009年10月2日金曜日

コヤーラ・フェス#01出品者募集

次世代の作家が自主的に企画をおこし、助け合い運営するグループがあったら良いと思い、この夏にHazeki officeが呼びかけて「チーム・コヤーラ」を立ち上げました。
ドバイの出品もコヤーラとともに取り組ませて頂いたものです。
この度、チーム発足のお披露目、活動資金集めの目的で、「コヤーラ・フェス#01」というささやかな展示即売会を高円寺で行うことにしました。会期中に、銭湯「なみのゆ」の二階を使わせて頂いて、ドバイの報告会も行う予定です。
詳細は追って、こちらでお知らせします。
出品は先着30名の方を受け付けております。概要は以下の通り。申し込みご希望の方は、お早めにHAZEKI officeまでご連絡ください。申込書をお送りいたします。

-----


「コヤーラ・フェス #01」

開催 2009年11月27日(金)~29日(日)
   0pm~8pm(最終日6pmまで)

会場 自由帳ギャラリー
〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-18-11 (tel) 03-5373-0306

搬入:11月26日(木) 0pm~4pm
(宅配の方は、11/26 0pm~2pm着指定にしてください)
搬出:11月29日(日) 6pm~8pm
(宅配希望の方は、着払い発送となります)

条件
出品料:2000円
販売手数料:販売価格の20%

出品内容:自由
*出品内容は手作り感のあるものであれば、人形に限らなくても大丈夫です。おしゃれで低価格なものが喜ばれる界隈です。小物、アクセサリー、ポストカードなど。平面作品OKです。
点数:お一人につき、20点まで。
*創作人形や造形物を出品される方は、会場の広さの都合上お一人3点まででお願いいたします。
 一人あたりの展示スペースの目安 35cm x 50cmくらい(展示場所やアレンジは主催者にお任せください)。
*単価が1000円以下のものについては、1000円を1点として換算してください。(但し、それぞれにプライスタグ=当方で配布予定=をつけ、実際の点数は出品リストに申告してください。)

お申し込みについて

・会場の都合上、先着30名で締め切らせていただきます。
・出品を希望される方は、郵送、ファックスかEメールで申込書、もしくは申し込み内容をお知らせの上、2000円を指定振込先へお振り込みなさるか、現金書留でお送りください。お申し込みから1週間以内にご送金が確認できない場合は、キャンセルとさせていただきます。
・ご入金の確認できた方には、管理番号のついたタグと出品リスト表をお送りします。

その他詳細は、お申し込みされた方に直接お送りいたします。

2009年9月30日水曜日

ポップアート? 3

しかし、そのような企画があがればとりあえずコミュニケーションは始まります。人形のことを大切に考えている関係者の方は、まずそれを喜ぶのです。
しかしほとんどの企画者や取材者は、自分が考えている「人形観」を確認しに来るだけのような気がします。創作人形=球体関節人形という情報しか持ち合わせていないメディアも最近はあるようですし、人形=ポップアートと呼びたい知識層も、私にはそう映ります。そういう仲介者を通してのコミュニケーションは、決して豊かなものに発展するとは思えません。
しかし入り口は「球体関節人形」や特定の人形への関心であっても、人形全体の話を丁寧に興味をもって聞いてくださる相手もいます。
NHKの「新日曜美術館」の担当ディレクターの方、「イノセンス」の押井守監督、「ウィークエンド・ジャパノロジー」に私が出演した折のピーター・バラカン氏、今年の3月に発行されたJAL機内誌『Skyward』のアメリカ人女性ジャーナリストなど、それぞれ漠然と「人形」というテーマを掲げ、切り口も決まっていたのですが、私の話から日本の人形の歴史と現状を見直し、それぞれのテーマに再アプローチされていました。それぞれの仕事のまとめ方にそれぞれのプロフェッショナリズムを見た思いでした。

2009年9月28日月曜日

ポップアート?  2

私は、創作人形をポップアートに見立てる傾向に違和感を覚えています。コマーシャリズムにおいて人形に関連する少女趣味を相対化し、アートの名の下に封じ込めてしまうアプローチは確かに可能です。確かにその文脈で制作される「作品」もあり、嫌いではないしそういうものを否定する気持ちもありません。
しかしその見立ては、何百年にもわたる工芸史を背景にした創作人形の存在を前提にしていません。ポップアートの文脈に浮上する人形もそれらとは無縁でないはずです。
それらすべて混沌とした状況が日本の創作人形の現状なので、その一局面だけをクローズアップしてこの国の人形を理解した気にさせようとするメディアの傾向に、反感を覚えるのです。メディアは、その影響力に対する責任を感じていません。人形は、ちょっと目先の変わった企画程度の通りがかりの感覚でとりあげられるのです。美術館においてもその傾向はあります。しかし、人形に関わる当事者にとっては、それだけで大関心事になってしまうのです。
情けないことですが、番組や雑誌が「人形特集」と打った企画がまかり通ってます。
人形には様々な様態や切り口があるのに、一回性の企画でそれを総括して紹介できると思ってしまう安易さがあるのです。だって、たとえば文化系の雑誌が「音楽特集」とか「陶芸特集」なんて打ったら、大枠すぎて何をやりたいかわからないでしょう?
「人形特集」の命を授かった取材者が、きちんとリサーチをしようとして私の話をヒアリングすると、決まってと言って良いほど頭を抱えこんでしまいます。

2009年9月27日日曜日

ポップアート?

土井典さんの展示会場にいたときに、一人の中年女性がふらっと会場に入ってきて、短時間で一通り見終わってから、「ポップアートなんですね」と話してました。「いえ、違いますよ」と、土井さんが即答してました。
このやりとりを聞きながら、土井さんの作品はポップアートでの文脈の解釈もありだと思っていたので、私はこの応答がちょっと意外でした。しかしその後で、文脈云々の前に土井さんは、この女性が短時間で鑑賞を済ませてポップアートとして決めつけた態度そのものに土井さんが『否(いな)』を表明したのかと考えました。

それは私も思い当たることがあります。数年前に現代美術系のイベントで創作人形についてのレクチャーをしたことがありますが、当時はちょうど球体関節人形ブーム再燃、少女人形ブーム到来の時期でした。
私は創作人形に対する認識が、そのような傾向一辺倒になることに危惧を覚えていたので、当日はその話をずいぶんしました。すると主催者は、創作人形をメディアがポップアートとしてみようとしていることに対して、そんなに目くじら立てなくても、というコメントをしていました。
うーん、私は目くじらたてていたんですね。そうかもしれないです。

2009年9月17日木曜日

土井典さん 個展開催中

銀座のスパンアートギャラリーで、土井典さんが3年ぶりの個展「不確実な少女達」を開催しています。2004年の東京都現代美術館での「球体関節人形展」に出品した作品もありました。私は「音楽会に」と題された赤い髪の作品が好きです。3〜4等身にデフォルメされた山積み状態の少女達も面白いと思いました。
種村季弘、寺山修司や渋澤龍彦ら、錚々たる顔ぶれの原稿の展示もありました。土井さんは土方巽や寺山修司ら70年代の舞台美術に重要な貢献をし、四谷シモン氏のように当時のアングラ文化の中心となった文化人に支持された美術家ですが、その作品は日本の美術館に収蔵されていない現実があります。
国家予算で公立美術館に購入された人形作品を私の記憶の範囲で思い起こしただけでも、土井さんの人形作品がそこに加わっていないことは、きわめて不自然と思えます。
国家予算で購入された作品には、それなりの購入理由や根拠があったと思いますが、逆に考えれば、土井さんの作品が購入されていない現実に対する理由もあって然るべきです。
それは何でしょうか。もしくはもし、購入候補にも上っていない現実があるのだとしたら、それはそういう分野を対象とする美術館の研究の怠慢だと思います。
日本が西洋美術の概念を輸入してからの日本人の人形文化を直視し、その足跡を記録することで日本人のアイデンティティを浮上させることができます。そういう仕事にこそ、公の予算を担った機関は従事して頂きたいものだと思います。

2009年9月9日水曜日

ゲイル・ジマーの来日


Gail Enid Zimmer visited Jusaburo Museum

「ドール・フォーラム・ジャパン」をご購読の方はご存知の「ゲイルからの手紙」の筆者、ゲイル・ジマーが来日しています。私は彼女とは10年近く会っていませんでした。
韓国で開かれる国際工芸展を見る前に、5日間の予定で日本に立ち寄りました。そして来日の第一目的であった辻村寿三郎氏に会うために、ジュサブロー館を訪れました。ゲイルは1970年代に辻村氏がニューヨークで人形展を行ったとき、人形雑誌のためにインタビュー取材を行っています。もう30年以上の時を経ての再会となりました。辻村氏やミュージアムのスタッフにもあたたかい歓迎を受け、彼女にとって日本での良い思い出となったと思います。
ゲイルはそれから江戸東京博物館を見学しました。
秋葉原も通過したのですが、今の日本のトレンディな人形を見ることには興味を示しませんでした。そのかわりと言っては失礼ですが、江戸東京博物館の常設展は、きちんと見ると見応えのあるものでした。ジオラマの人形も、ひとつひとつがとてもよくできているので大変感心しました。名もない人形師の仕事を見た思いです。ご関心のある方は、時間をとってそれだけでも見に行かれるとおもしろいですよ。

2009年9月5日土曜日

ティッシュペーパードール


I made 'tissue paper dolls' during Dubai Doll Art Exhibition, made of tissue paper and used pet bottle.
It was inquired by a Canadian painter and I sold it at 'a glass of beer', and I have not been paid it yet. It can be a reason for me to visit Canada?

ちょっと前の話題ですが、ドバイのお土産話をひとつ。
会場で展示中、出品者は作品だけでなく、自身も何かしらプレゼンし続けなければなりませんでした。作家は制作の一部を披露しました。ドバイの人々は、とにかく誰かが手を動かしていると、本当に興味深く見入ってます。隣で子供向けに二等身のキャラクターっぽい人形を飴細工のようにどんどん作る西村Feliz氏は、会場の人気者でいつも人だかりができてました。
そこでコミュニケーションが生まれることは羨ましいと思いまして、私もあり合わせの材料で手を動かすことにしました。
あったのはボンドとティッシュペーパーと毎日飲んでいたミネラルウォーターの空きペットボトル。それに絵筆を買ってきて、ボンドを水で溶いて、ボトルにティッシュやその辺にあった屑のような紙(鼻をかんだような汚い紙はないですよ〜)をレイヤーのように張り始めました。張り子の型を作るときの逆のバージョンです。それが乾かないうちに、筆で圧力を加えて形を作り、最後に仕上げの衣装を着せました。美濃麻紙のような和紙もサンプルに持って行ったので、それも入ってます。
ドバイには郷土人形がないから、日本の文化でドバイを表現したドバイこけし、ドバイ雛と作ってやれ〜!と酔狂で始めて、できたのがこれです。目の前を行き交うイマラティ(現地人)をみながら作りました。
男は白、女は黒、衣装をすっぽりかぶった人たちなので私にも作りやすかったです。女性の衣装には、和紙を墨で塗ったものをかぶせました。
結構評判がよく、作り方をビデオで撮っていく人や、教えてほしいとか、これはいくら?などとも何度か聞かれました。「日本人はティッシュで人形を作る」と思い込んだ人もいたみたいで、これはちょっと汗(^_^;
搬出前にこの人形の処遇をどうしよう、と思っているところに、価格を聞いてきた男性がいたので、「私は作家じゃないし、これはあげる」と言って引き受けてもらいました。彼は対価を払いたい、というので、「じゃあ、ビール一杯」と答えました。そんなのお安い御用、ということで商談成立。
イスラム文化のドバイでビールにありつくのは大変。しかし出国直前の私は、それ以降彼に会うことはありませんでした。彼はカナダ人で絵描きさんだと言うので、目のある人に評価されたのが嬉しかったです。
誰かが引き取るなら、あそことあそこはもっとこうすべきだったと反省。作家の気持ちがちょっとわかります。
カナダにビール一杯のツケができました。いつかカナダに行く理由になるかな。

2009年9月2日水曜日

メールアドレス、データ紛失?

先日、メインで使っているPCがクラッシュしてしまいました。
現在、他機を使って現状建生直し中です。
ほとんどのデータは避難させましたが、ここ2ヶ月受信した以前のメールアドレスのデータについては復旧できない模様です。
これはかなりショックですが、今までの膨大な通信記録を整理するのに頭を抱えていた自分としては、心機一転しろということでもあると前向きに受け止め、今後の蓄積で粛々と、これからの自分のネットワークを再構築したいと思っています。
これを読まれた方は、私にメールをいただければ、すぐに登録します!
メールの宛先は: hazeki*nonc.jp
*を、@に変えてください。

今日の朝日新聞の朝刊をみていたら、ハワイの問題解決法「ホ・オポノポノ」を推奨するイハレアカラ・ヒューレン氏の本の紹介記事がありました。
「自分の人生でおきている以上は、誰にどんなことが起きようとすべては自分の内側の問題です。『ホ・オポノポノ』は、自分が認識する世界はすべて自分が創り出したものであり、100%自分の責任なのだ、ということを認めることから始めなければなりません」といい、問題の要因となっているものは、潜在意識に蓄積されている「過去の記憶(メモリー)」が再生されている状態なのだそうです。解決解決にはそのメモリーを消去(クリーニング)して、ゼロに戻すしかないそうです。そして実際には、自分のなかの潜在意識に「Thank you」「I am sorry」「Please forgive me」「I love you」を繰り返して語りかければよいそうです。
これは、先祖からのメモリが現在も蓄積されていると漠然と考えていた私には、とてもわかりやすいものでした(ちなみに私は特別な宗教組織には属していません)。先祖崇拝の信仰が残る文化同士で、通じるものがあるのでしょう。

まさに、PCに脳がつながってるのではないかと思えるほどPCに依存していた私にとって、今の状態をまさしく象徴するような言葉でした。消えたデータを追ってもむなしいものです。強制的にクリーニングされ、その状況を受け入れざるを得ないこの時に、私はとりあえず、この四つの言葉を自分に言って、次に進むとしましょう。

選挙が終わって

7月からお盆あけまでタイトに動いていたので、8月後半はスローペースで過ごしていました。
その間に衆議院選挙がありました。日本人にもアメリカのCHANGEへの意志が波及したように、民主党圧勝でした。
その直前に、私とNHKサービスセンターでパラミタミュージアムのギャラリーで水澄美恵子さんの展示を企画させていただいたのですが、実はこのパラミタミュージアムは、民主党の総裁候補だった岡田克也氏の父上が会長である岡田文化財団が運営するものです。それだけで選挙期間中もなんとなく、民主党がちょっと身近に感じられました。
ここ数年、経済不況のあおりで出版や展示企画などのメディアにおいては、’新しいことをせず、成功を約束された内容や方法を踏襲する’保守的な傾向が強くなりました。今回の変化がクリエイターたちに、やる気を再起させるものであってほしいと願います。
変化は、実現するでしょうか?
政治は政治で、自分はやる気でおります。
新しい政府にはスピードを期待したいものです。

2009年8月24日月曜日

ドバイ経験から

作品の返却を経て、ドバイで見聞したことがやっと一つの経験として自分のなかで落ち着きはじめています。
異文化に触れることで、カルチャーショックを受けるのは必要なことだと思いますが、人形を玩具以上の意味を含んだ鑑賞物として見るのは初めて、という世界の人々の目にさらされて、自分が据えていた価値観をあえて問い直される気がしました。
人形作家作品の価値を意識して100年の歴史がある日本や欧米と、それがなかった中東やアジア各国の人々の意識のギャップを、今すぐそこで埋めるなんてことは到底無理です。しかし、そのギャップをものともせず、人の心に届く人形もあるでしょう。見る側の個々の状況や性格も深く関係してくるはずですが、そういうものがあるとすればどういうものなのか、考えるようになりました。
ドバイでは珍しいからか、日本のように「人形がこわい」という人はなく、皆「これはなんだろう」と、老若男女、家族連れも若いカップルも、それは一生懸命人形を見ていました。この「熱心さ」は、日本の人形展では見られない光景でした。
主催者によれば大好評を博した結果らしいですが、その後、人形をみた人の心には何が残っているのでしょうか。この人形展のことをどういうふうに思い出すのか、興味深いところです。

2009年8月20日木曜日

ドバイ・ミッション終了

17日は、三重県のパラミタミュージアムで、水澄美恵子さんの「木造校舎の子どもたち」の搬出に行きました。おかげさまで展示は大変ご好評をいただいたそうです。来館された皆様、どうもありがとうございました。
そして、、、先月23日に終了したドバイの人形展の人形は今月18日にやっと、戻って参りました。
パニック状態での現地での梱包作業を経て、現地の企画会社から輸送業者、日本での通関を経るあいだに、あれこれあれこれ、非常にたくさんありまして、交渉、調整、待機の連続で、長い道のりでした。
今日あたり、出品者の皆様の手元に戻り始めています。私からも展示された作品に「お疲れさま!」と言いたいです。

2009年8月11日火曜日

木造校舎の子どもたち

三重県のパラミタミュ−ジアムで開催されている水澄美恵子さんの展示が、NHKのローカルニュースでもとりあげられ、大変好評をいただき、多くの方のご来場を頂いているそうです。
三重県は台風の雨の影響が心配ですね。
展示は16日いっぱいまでですので、お近くの方はお天気が落ち着きましたら、ぜひお出かけになってみてください。

2009年8月10日月曜日

NIADA News Letter

これは、ドバイに行く前に届いていたものなのですが、なかなか落ち着かず本日の紹介になってしまいました。
アメリカを中心とする人形作家とサポーターの協会、NIADAが発行するニュースレターに、会員のシルビアやアンキーが、世界創作人形展のリポートを寄稿してくれました。矢部藤子さんや水澄美恵子さんの人形の写真も紹介されています。私もパトロン会員として、プレス向けのウェブサイトのアドレスを寄稿しました。
この掲載については、会長のシェリー・ソントンの了解を得ました。(シェリーは、今は閉館してしまったセキグチ・ドールガーデンの図録の表紙になっている作家です。)
どうぞ、ご覧下さい。

下記をクリックするとPDFファイルが開きます。結構大きなファイルです(各3.1MB)。
世界創作人形展について触れているのは、「後半」のファイルです。

NIADA Newsletter 前半
NIADA Newsletter 後半

2009年8月2日日曜日

Dubai Doll Art Exhibition 4

Dubai Doll Art Exhibition 2009


ドバイ・ドールアート展の会場風景をウェブアルバムにアップロードしました。上記の写真か、このブログタイトルをクリックしてご覧下さい。
3週間近く長い会期でしたので、いろいろなことがありました。珍妙なことに、山吉由利子さんの「ペトリューシュカ」という大きな作品の右手に、誰が何を思ったか、いつしかディルハムのコインが。イコンと崇めたか、お小遣いをねだる少年に見えたのか、、いまだに謎です。

I uplpaded photos from Dubai Doll Art exhibition. Just click the photo above or click the blog title to link the webalbum.
We experienced varied things in such a long term at the venue. To our surprise, we found a coin in the right hand of 'Petrushika' of YAMAYOSHI Yuriko. Who did for What?
Was it for praying, or an allowance for this boy? We wonder still now.

「木造校舎の子どもたち」会場風景

水澄美恵子さんの人形展「木造校舎の子どもたち」の展示が三重県の菰野町にあるパラ見たミュージアムの小ギャラリーでスタートしています。
会場の写真を、専用ウェブサイトに一部アップいたしました。
右のバナーからもいけますが、下記から
home>発表会>09夏パラミタギャラリー
と進んでください。
http://www.nonc.jp/minazumi/index.html

これで水澄作品を見た気にならないでくださいね。実作品からは、ほんとうに子供のざわめきが聞こえてきそうです。チャンスのある方はぜひお出向きください!
パラミタミュージアムの展示も池田満寿夫の陶作品をはじめ、見応えがあります。
近くには「湯の山温泉」もあります。

ドバイの人形展のリポートも近々全貌が分かるようにアップします。

2009年7月28日火曜日

水澄美恵子人形展開催!


ドバイから帰ってきました! そしてすぐに水澄さんの人形展が!
これから搬入に出掛けます。ドバイから三重へぴゅー!
(もちろん、さらなるドバイの報告もいたします。しばしお待ちを)

水澄美恵子人形展「木造校舎の子どもたち」開催します!
夏休みの一日、ぜひ皆様でお出掛けください!

財団法人岡田文化財団 Paramita Museum
パラミタミュージアム[小ギャラリー]
〒510-1245
三重県三重郡菰野町大羽根園松ヶ枝町21-6
Tel.059-391-1088
Fax.059-391-1077
http://www.paramitamuseum.com

2009年7月20日月曜日

Dubai Doll Art Exhibiition 3










This exhibition has been visited and appreciated by so many people every day. 
On the 18th, we had an honor to have an official visit by His Highness Sheikh Nahayan Mabarak Al Nahayan ,the United Arab Emirates Minister of Higher Education and Scientific Research.
We, the exhibitors were excited with the visit, and prepared for it.
この展覧会は、連日たくさんの方が訪れ、鑑賞をしてくださってます。18日には、アブダビの首長の一人で高等教育科学調査省大臣のシェイク•ヤン•マラバク・アル•ナハヤン氏が展示を視察されました。出品者はわくわくして、この訪問に備えました。

Here Sheikh Nahayan visits us. Fatma Ebrahim of Enigma, who organized this exhibition greets him.
TV reporters from midwest stations and press rushed and reported about his visit and our exhibition.
シェイク•ナラヤン氏を、この展示を企画したエニグマのファトマ•エブラヒムさんが迎えます。中東のテレビやプレスの取材が押し寄せました。私もテレビのインタビューをうけました。あまりにもたくさんの取材があったため、企画者もどのテレビ局の取材かわからないという混乱ぶりでした。

2009年7月17日金曜日

Dubai Doll Art Exhibiition 2

会場では毎日、多くの人が訪れ、熱心に人形を鑑賞してくださってます。

アートにアプローチする様々な素材の人形表現、また、日本の文化と、どれもあまり見慣れないものなのでしょう。多国籍のドバイ、男性は白、女性は黒の民族衣装に身を固めた先住民の方も、各国から移住してきた方も、年齢層、男女を問わず、大変熱心に鑑賞していただく姿には、正直いってこちらのほうが驚かされるほどです。

ここで以前書きましたが、ここは偶像崇拝を禁じる回教の国。関心をどれほど持っていただけるか半信半疑でしたが、会場に足を止める方はどの方もとてもうれしそうで、「いいものを見せてくれてありがとう」と声をかけてくださる方も少なくありません。

こちらではお土産屋さん

などを巡っても、まだ手仕事をする職人の活躍の場が多いのでしょう、工芸やデザインのレベルが大変高いと思いました。それだけに、人々の鑑賞眼や価格への評価は厳しいと思います。その目にさらされるかと思うと、私も緊張します。人形も工芸的な側面からみられるのか、技術や素材に関する質問を数多く寄せられます。人形作家にはメッセージや内容に価値を依存しがちな傾向がありますが、両方あいまって本当に価値のある作品として評価されるのでしょう。展示されている人形に、思わず心のなかで「がんばれ」といいたくなります。


Lots of people visit and enjoy our exhibition every day. It seems quite a new experience for local people to see such expression in dolls with varied materials to approach art.

I am surprised to see all kinds of people, such as men or women, old or young,  native people in traditional costume or immigrants, stop by us and appreciates exhibition and demonstration with quite an enthusiasm.


この展示台ではマーレネ・フェアヘルスト、河野滋子、Noe、山吉由利子、ヘニー•コフリーらオランダと日本人作家の作品がすばらしい調和を見せています。マーレネとヘニーは、国立近代美術館での人形展に出品した作品をここで展示していました。

In this table, Dutch and Japanese works match successfully, by Marlanine Verhelst, Shigeko Kohno, Noe,Yuriko Yamayoshi, and Hennie Koffrie. Marlaine and Hennie exhibited one of their works once exhibited at an doll art exhibition at  the National Museum of Modern Art Tokyo.

2009年7月15日水曜日

Dubai Doll Art Exhibiition


Doll Art Exhibition - from 9 - 23 July, Dubai Festival City


A doll art exhibition is on held for the very first time in Dubai now.

It is a part of popular 'Summer Surprise' event in Dubai. Almost 300 pieces are exhibited, from the Netherlands, Belguim, Canada and Japan. Hazeki office reprents 67 works by 19 Japanese artists here. For our part, Feliz Nishimura and Yoko Ueno are here for dollmaking demonstration.

Here I enjoy reunion with the artists who exhibited at the last World NIngyo Exhibition, such as Marlaine Verhelst, Hennie Koffrie, Yvonne Flipse, and Nel Groothedde.

We stay until the end of the exhibition.  I hope to show photos and report as possible while I am here in Dubai.

photo Yoko, Yvonne, Hennie


ドバイ人形展には、オランダ、カナダ、ベルギー、日本から公称300点の人形が出品されてます。HAZEKI officeと、私が支援している次世代作家のプロジェクトチーム「チーム•コヤーラ」として、19作家の67点を出品しています。この展示のために西村フェリスさんと、上野陽子さんがここで制作の実演をしています、世界創作人形展に出品したマーレネ•フェアフェルスト、ヘニー・コフリー、イヴォンヌ•フリプシ、ネル•グロッテデと再会しました。

写真は左から、上野陽子さん、イヴォンヌ、ヘニー


2009年7月13日月曜日

ドバイ人形展 1


現地からの報告です。

出発から搬入、9日の初日まで忍耐を要する経緯がありましたが、それでもなんとか人形展が始まりました。

今ドバイでは、ドバイ全体をあげて、サマーサプライズというイベントを開催中、大型ショッピングモールはそれぞれなにがしらかの企画を展開します。そのひとつ、フェスティバル•シティがその企画として取り組んだのが、この人形展でした。

企画者も人形が面白いのではないかと取り組んだらしく、彼らも参加者も初めての経験ばかりでギャップを乗り越えながらの展示となりました。

モールでは、こちらから宣伝素材として送った作家の写真から佐藤美穂さんの人形の写真が選ばれて、モールのなかで大きく掲示されてます。

ドバイに来て、一般的な印象しかもたない日本人の一人である私がドバイや中東の文化についていかに貧しい知識しか持っていないのか、ほんの数日滞在しているだけ痛感しています。確かに、アラビアンナイトを連想させるとことんゴージャスな生活ぶりの片鱗を目にすることもありますが、一方で、労働層の一般庶民や労働者のつましい生活ぶりも見えます。食料や日用品はスーパーにいけば、日本の物価より格安で何でも手に入ります。輸入雑貨も多く、日本でもみなくなったようなサンポールを見つけたときはびっくりしました。

23日が展示最終日で、最終日まで滞在することになっているので、レポートを随時書き込んでいきたいと思っています。


2009年7月4日土曜日

ドバイ人形展 準備編3

渡航チケットですが、2日の夜にEチケットがメールで送られてきました。
一応ほっとしています。
戻りのフライトが、展示最終日の閉店時間の5時間半後であることだけを除いては。
それも朝3時半。
この5時間半の間に、日本人19作家65点の展示作品を引き上げ、同行する作家二人とともに梱包、発送手配をし、空港に走り搭乗手続きをして飛行機に乗っているわけですな。
海外の展示では「様々な」経験をしてきてますが、出発前からこんなに予想がつくものも珍しいです。
とりあえず事前に対策がうてるので、なんとかなるでしょう。
もう、相手にうるさがられてると思いますが、この件では今からごねてます。
一方、日本の作家作品で別送したものは、すべてドバイに入りました。まだ通関中のものもあり、配達は完了していないようですが、とりあえずこれも安心。
ドバイへからも環境が整えば、ブログの更新をするつもりです。ここでオンタイムの報告ができるかもしれません。

2009年7月1日水曜日

ドバイ人形展 準備編2

昨日ここでぼやいていたら、その後すぐに、企画書と合意書がきました。
むう。なかなかやるな。
これ、最初に欲しかったな。
今日はもう7月。搬入まで1週間。
発送案内や指定業者も、発送する前に教えて欲しかったな。

今回も、また以前作家のリストを送ってくれたときも、「何人かの方から要望があって」と書いてありました。私はいつもその何人かのひとり。
サインと引き換えに、フライトスケジュールが送られてくるとのこと。
これでやっと動き出す気配が。

2009年6月30日火曜日

ドバイ人形展 準備編

今回の企画は、なかなかタフです。
まだフライトスケジュールも知らされてません。
他にもドバイ側とは驚きの「意識のタイムラグ」がいくつかあります。
人形を次々に発送している昨日、発送会社や方法の指定がありました。
オランダの作家に様子をうかがうと、やはり今は忍の字で、「待てというのだから、待つしかない」みたいな返答でした。
やきもきしてしまう自分は日本人だなあと、よくも悪くも民族意識が高まるものです。
さてどうなることやら。

2009年6月24日水曜日

ドバイの人形展

とても急な話だったのですが、ドバイで行われる人形展に招待され、参加することになりました。
依頼があったのは、5月の末。開催は7月。え〜!? 本気かいな。
なんでも世界から10名ほどの作家を招待し、300点ほどの作品を、ドバイのウォーターフロントのイベント会場で展示するといいます。
私を主催者に紹介したヨーロッパの作家は信用できるし、彼女も参加するというので、半信半疑で取り組み出しました。
主催者と何度も連絡をとりながら、日本からは個人作家でなくて団体戦の出品でいいか確認して、20名近くの方の出品の準備を進めました。
ロシアもそうですが、日本や欧米相手のペースで確認作業が進みません。半分もどかしく思いつつ、偶像崇拝を回避してきた回教国での人形展に興味津々。たぶん、主催者も人形展を立ち上げながら、分からないことだらけではないかと想像がつきます。
昨年、実兄が赴任していたチュニジアを訪ねたのが私にとって初の回教国体験でしたが、装飾品は抽象的なデザインの工芸品ばかりでした。そこに人形が入っていくイメージがわかないので、反応をみるのが楽しみです。
ひとがたが、人間の普遍的な関心を誘うものと言い続けている自説が試される気分です。
しかし、未だに日本をいつ出発して、戻りがいつなのか、確定の連絡がありません。再来週の今日が搬入日なのですが。

2009年6月18日木曜日

水澄美恵子さんの人形展

ご報告が遅れましたが、右のサイドバーで掲げている水澄美恵子さんの「木造校舎の子供たち」のシリーズの人形展が行われることになりました。
三重県のパラミタミュージアムの小ギャラリーで、7月29日(水)から8月16日(日)まで開催されます。
詳細は追ってお知らせいたします。

2009年6月16日火曜日

高円寺の銭湯なみのゆ


実は、世界創作人形展の準備と並行して、編集を担当させていただいていた高円寺の銭湯「なみのゆ」さんの冊子「そうだ!銭湯へ行こう なみのゆノート」が先週、やっとできあがりました。
銭湯文化の生き残りをかけて、様々な実験的な試みをされている銭湯です。5月には煙突を使って鯉のぼりを泳がせたり、常連客でデザインチームを作ってもりあげたり、様々なユニークな試みが行われています。
ウェブサイトも充実していますので、ご覧ください。
http://naminoyu.com/
銭湯のことを知るための貴重な資料になると思います。ご関心のある方は、「なみのゆ」にお問い合わせください。1部500円です。

2009年5月23日土曜日

最近見たもので

ここのところ、立て続けに展示などをみて歩きました。
bunkamuraギャラリーの「少女幻想綺譚」、山本じん氏の人形が展示されたファッションブランドShare Spiritのコンセプチュアルな展覧会「Museum」、ストライプハウスギャラリーでの松沢香代さんの「ブレネリ」を見ました。「ブレネリ」に関連する黒谷都さんと松沢さんのユニットによるKu in Kaの公演「楽園」も見ました。
「少女〜」はその重心がポップカルチャーに寄っていて、その現状について考えてしまいました。その増殖力、というか、繁殖力が、予想していたよりも息が長く、影響力を海外にもじわじわと広げていて、近現代社会におけるボーダーの認識をあらゆる側面から浸食しているように思えます。それは現代の現実であり、動きなのでしょう。
ポップカルチャーとコマーシャリズムは密接な関係があると思いますが、欲望がダイレクトに反映するコマーシャリズムとは一線を画し、欲望を相対化したところにポップカルチャーの美意識があると思います。似て非なる作品群を目にしながら、最近の作品からそれを感じるものは少ないという印象を持ちました。しばらくは作家の数と優れた表現は反比例の関係をもちながら、作家と呼ばれる人の数が増えていくのだと思います。

「Museum」は、山本じん氏の80年代に制作された3つの乳房を持つエロチックな女性のトルソ(未発表)が、別アーティストの手になる特製の天蓋のなかで艶めかしく展示されていました。

毎回、その時にしか生まれてこない形や演技を追求する松沢さんの「ブレネリ」と、松沢さんと人形遣い黒谷都さんのユニットKu in Kaの「楽園」は、常に挑戦的で二人の「今」を感じるライブ感覚があります。ライブ感覚は私にとって重要な感覚なので、彼らの展示や公演は欠かさず見ています。二人が生み出す、狂気が降ったようなシャーマン的な造形や演技には引き込まれてしまいます。その意味では、今回はおとなしいと思いました。昨年、黒谷さんの国立ラボの公演を見て感想を書くつもりが書く時間がないままきてしまいましたが、今回も感想に似たものをもちました。その時も今回も表現に舞踏の要素が入り込んでいるのですが、私の目にはその「人体」が邪魔に映ります。
私は黒谷さんが、言葉で意味づけしにくい不思議な様相のオブジェ(布や人形)を手にして、命として認識させる動作を見たくて行ってるのですが、舞踏手の肉体によって時間を引き延ばされている、邪魔されている感じがします。だから、なにか薄まった感じがしてしまいました。
土方巽が暗黒舞踏を始めたとき、舞踏手に絶食させ肉体を骨と皮くらいになるまで絞ったことは、肉体をオブジェ化する意図があったと思います。黒谷さんの舞台では、人形的なオブジェを扱うのだからその設定がデフォルトでできているのにも拘わらず、また黒谷さん本人は体が小さく人形のような人でもあるので気にならないのですが、あえて舞踏手の「肉」体を介入させることがどういう意図でされているのか、私には伝わってきませんでした。
人形劇をベースにしたパフォーマンスでは、同じステージにおける肉体の存在はデリケートに扱われていることでしょう。今回もデリケートなディスカッションの経緯が感じられるものでしたが、あれだけ優れた目を持っている黒谷さんをはじめとするスタッフなのだから、「見えてしまうもの」に対して、もう少しストイックな対応をされたほうが良かったか、と思いました。
無論、これが私の私見であることはいうまでもありません。

2009年5月13日水曜日

From Gail Lackey, USA

I have received interesting thoughts after World Ningyo Exhibition.
I would like to share it here in both English and Japanese, with permission of the artist.
This email is from Gail Lackey from USA. She has been interested in Japanese ball jointed dolls from earlier than the others.Her doll was recieved well by so called 'do-ru'(=doll) fans in Japan.

*

Thank you for your letter. I am happy to hear that the exhibition went better than you expected and that there were many sales. I am thankful that my little doll sold when I see there were so many fabulous works of art there, and so many wonderful Japanese artists.
The ball jointed dolls are becoming such a really big thing hear in the states. I knew it would be big when many years ago I saw the work of Katan. I fell in love with her dolls and wanted to express the same emotion in my own dolls. I wanted to learn how to do the ball jointed dolls, but to experiment takes time away from my regular dolls, so I never had time. Recently though, I have experimented and have purchased the book of Ryo Yoshida. I also have many of the japanese doll books to inspire me. I especially love the work of Koitsukihime. I have a great desire to make this type of doll.
Here in the US it is mostly the resin ball jointed dolls from Japan and Korea that are purchased as there are only a couple of artists that sculpt and create their own dolls.People that can't make their own dolls love painting and dressing these resin dolls.
For me, I am getting tired of creating dolls that have no movement and love the idea of being able to move the doll and play, plus, this gives it a more life- like quality.

I am going to teach a class at niada this year on basic ball jointed dolls using a humpty dumpty egg shaped doll and just teaching how to ball joint the legs. I am hoping to be one of the first artists that will entire into to this area of sculpting ooak ball jointed dolls
So far, I have kept the ball jointed dolls I have done, as they are not perfect and they are taking so much time to do.
The dark gothic culture is really big now and the time is perfect for me to do such a thing. The artists I know here are facinated with the japanese ball jointed dolls also. I think the influence of film maker Tim Burton has a lot to do with this, dark culture being accepted.

Thank you for inviting me to do the exhibition it was an honour to have my work be among so many other wonderful artists. I am glad the show was successful!
Best, Gail

ゲイル・ラッキー(USA)から

今回の世界創作人形展を終えて、興味深い感想を頂きますが、ここで作家の了承のもとに、英語と日本語でご紹介したいと思います。
今回来日した外国人作家は日本人がなぜこれだけ球体関節人形が好きなのか、その違いに興味を持っていましたが、アメリカのゲイル・ラッキーは日本の球体関節人形にいち早く注目していた作家でした。彼女の人形は日本のドール・ファンにも熱い視線を注がれていました。



メールをありがとうございました。私は展覧会が予想したよりも良く、作品も沢山売れたことを聞いて嬉しく思います。私は会場で多くの素敵な芸術的な作品が素晴らしい日本作家の作品が並ぶなかで自分の小さな人形が売れたことをありがたく思います。
球体関節人形はアメリカでもとても大きな人気を呼びつつあります。私は何年も前に(天野)可淡の作品(の写真)を見たとき、球体関節人形が大人気になることは予想していました。彼女の作品が大好きになり、同様の感情を自分の人形でも表現したいと思いました。球体関節人形の作り方を知りたかったのですが、自分でやってみたら通常の制作の時間がなくなってしまい、二度と挑戦することはありませんでした。でも最近、また少し挑戦し、吉田良さんの本も買いました。私は他にも刺激を受けた、たくさんの日本の人形の本を持っています。私は特に恋月姫の作品が好きです。私もああいう人形を作ってみたいという強い憧れがあります。
アメリカで買われている球体関節人形のほとんどは、日本か韓国製の樹脂のもので、自分自身の球体関節人形を作る作家はごく少数です。
私自身は、動かない人形を作るのに飽きてきて、今は動かせて遊べて、もっと生きている感じを与える人形の考え方が気に入っています。

私は今年、ニアダで卵の形をしたハンプティ・ダンプティの人形を使いながら球体関節人形の基本を教えることになっています。足の部分に球体関節をつけるやり方だけを教えるのですが。私はアメリカで、一点物の球体関節人形を制作する最初の作家のうちの一人になりたいと思っています。
今のところ、私はいくつか球体関節人形を作りましたが、まだ完全とはいえずまだまだ時間がかかります。
ダーク・ゴシック・カルチャーは今、まさにブームで、私がそういうものを作るのに最適のタイミングです。アメリカの人形作家も日本の球体関節人形に魅了されています。私は、ダーク・カルチャーが受け入れられていることには、ティム・バートンの映画もかなり影響があると思います。
この人形展に招待してくれてありがとう。あんなにたくさんの素晴らしい作家のなかに入れてもらえたことを誇りに思います。この展示会が成功したことは、嬉しく思います。

2009年5月12日火曜日

日本の印象

海外の人形作家が、ひとつの展覧会のために集うということが今までなかっただけに、世界創作人形展の成否や評価は私にとって、自分のしてきたことや、今後のことを考える上で重要な材料になると思い、この企画に取り組んできました。
また同時に、自分がメディアの一線から離れて時間を過ごしてきたので、また以前のように仕事をこなせるかどうか、自分自身の能力を見極める上でリハビリ的な企画でした。

その結果はここで書ききれませんし、今も考えていることはあります。
まずひとつ、確実に言えるのは、今の日本の繁栄が旅行者にもたらした東京の快適な環境が、欧米の作家から高い評価を得たことです。公共的な場所はどんどん清潔になってきてますし、交通のネットワークはすべて英語で案内がなされ、おいしくてリーズナブルな食事を得る場所はあちこちにあり、店も遅くまで開いている。人びとは穏やかで丁寧で親切。
日本人は空気のように享受しているサービス環境が、彼らにとっては驚嘆すべきことなのです。これは何カ国か旅行した経験から、私もそう思います。何度も「あなたは自分の国を誇りに思ってるでしょうね」とほめられ、その度に「ええ!」と私は日本国民を代表するような気持ちで答えました。(もちろん過ぎたるは及ばざるが如しで、清潔好きの弊害やらいろいろ批判したいところもありますが。)

2009年5月10日日曜日

遅れてきたフェレナの人形

世界創作人形展のフォロー情報です。
ドイツのフェレナ・アイジングは3点の出品を予定していましたが、作家の発送が遅れ初日には展示が間に合いませんでした。残念なことにそのうち、1点は破損していたので展示できず、またもう1点は他の2体と別に通関をして審査に連休がかかってしまって会期にはまったく間に合いませんでした。結局、会場で展示できたのは「ティファニーと犬」だけ会場に展示でした。
ベストな3体を送る、と言っていた彼女の作品は、ドルスバラード店頭で展示することになりました。破損した1点についても、本人が修理部品を送り、こちらで修理をして展示する予定です。作品の写真はドルスバラードのウェブサイトで随時アップロードされる予定です。
http://www.dolsballad.co.jp/

2009年5月9日土曜日

歴史は繰り返す

今回、海外の作家がきて、日本の人形作家との表現の違いが話題になりました。
日本の人形が表現が内面に向かう傾向があるのに対して、海外の作品はジオラマ的に情景を切り取って説明したりメッセージを込めたりする傾向があります。様式的には、関節人形と固定ポーズ人形の対比がそれらを象徴的に語っています。今回も、シルビア・ナテラーが、日本の作家と食事をしたときに、どうして日本の人形作家はあんなに関節にこだわるのか、ヨーロッパではケテ・クルーゼが人形改革運動を起こして、ボールジョイントから柔らかな素材でスムースな肌の表現に向かったのに、日本人は逆に見える、と言ってました。
ケテの運動は日本であまり取り上げられていない人形史の側面ですが、多くの感想で海外からも国内からもあがってきている表現の内外の方向性、東西の表現の対比、様式の可動性の有無については、DFJで何度も繰り返しとりあげた話題です。私も海外でプレゼンの機会がある度に、この点を繰り返して説明してきたつもりですが、百聞は一見に如かずというか、聞き流されていたのか、DFJ以外のメディアは何をやってたのじゃ、という感じでちと寂しい。あれらの記事がまだ浸透していないことを再認識。同じ問題提起が繰り返され、考え続けられているようなので、アラビクさんでDFJのバックナンバーを見てくださいねー、と言いたいです。
英語版も必要かな。
私としては次のステップに話を進めたいのですが、双六でフリダシに戻った印象です。でもフリダシにさえ立っていなかったわけですから、あれが東西の人形事情のミックスアップが東京を起点に本格的に始まる第一歩だったと思うと、ちょっとわくわくします。
そういうことを、世界創作人形展の展示を通して現実として受け止めました。

2009年5月7日木曜日

人形と離れた日常へ

世界創作人形展終了直後から、事後処理をドルスバラードも私も進めています。
私は海外の作家への結果報告を。今回の結果を来日した人、しなかった人含めそれぞれの思いで受け止めてくれたと思います。おおむね好評で、このブログをバイリンガルにした部分は、海外の作家もとても喜んでくれました。

一方、会期前からお手伝いしているひとつの仕事がありまして、そちらは人形とまったく異なる世界。DFJでの編集、DTPの経験を買われて、高円寺の革新的なお風呂屋さんの資料冊子の制作をお手伝いしていたのですが、その詰めの作業が見事にこの会期にかぶってしまったのでした。ですので、会期終了とともに飲みながらゆるゆる過ごす休日はお預け、半徹で今しがた版組を終えたところです。

一年間、ペースを落としていた身としては、4月からの日々はなかなか手応えがありました。
今回は、私はやれることをやって、その結果をどんな形でも受け止めて、しっかり見ることをミッションとしました。
見えたことをすべて言語化できるわけではありませんが、今後の活動の方向性を探る材料が得られました。
とりあえず、おつかれさまの飲み会が楽しみです。

追々、世界創作人形展のウェブサイトも、今回の実績をアーカイブにして来年に向けた仕様に編集しなおす予定です。
しばしお待ちを。

2009年5月5日火曜日

搬出終了!

世界創作人形展、本日無事終了しました。
多くの方にご来場いただきまして、誠にありがとうございました。
海外の作家も、日本の人形事情を自分の目でみて大変勉強になったと喜んでいました。
日本の作家も、海外の作品に大変刺激をうけたようです。

展示後の感想などはまた追って、書いてみたいと思います。
この展示を成功に導いてくださったすべての皆様の協力、思いに深く感謝申し上げます。

いよいよ最終日

世界創作人形展も今日がいよいよ最終日です。
3日の夜はロシアの作家と、4日の夜はオランダの作家と日本の作家が夕食を共にして日本食をつつきながら、それぞれの思いを交換する集いができました。
全員いっぺんにできれば楽しいのですが、それぞれのプランがあって、時間あわせと会場探しが大変。
でも皆さん、とても有意義な時間を過ごしていただけたようでほっとしています。
会場の展示も来場者の方から大変ご好評をいただいています。
この結果に、早くも継続開催の声も聞こえています。
とにかく、私は日本と海外の作家の心がひとつになるきっかけとなり、何かが動き出している感じがお客様にも伝わっていった手応えを感じて、ほっとするとともに、喜びを感じています。
最終日も、気を引き締めて臨みたいと思います。

2009年5月4日月曜日

デザインフェスタギャラリーで at Design Festa Gallery

2日の追加報告です。
コースの最後に、原宿のデザインフェスタギャラリーを訪れました。
そこで作家とギャラリーのスタッフの交流があり、私たちのことをデザインフェスタギャラリーのブログで紹介していただきました。
http://designfesta.com/jp/topics/blog_new/archives/2009/05/_gallery_110.php

This is addtional report of the excursion on May 2.
At end of itenary we visited Design Festa Gallery in Harajuku. There our artists comuuniated with their staff and they kindly introduced us at their blog.
http://designfesta.com/jp/topics/blog_new/archives/2009/05/_gallery_110.php

世界創作人形展は、5日まで開催です。(最終日は4時終了)。
ぜひこの機会をお見逃しなく!

2009年5月3日日曜日

図録通販始めました catalogue

会場にお越しになれない方のために、図録を通販することになりました。
お申し込みは、こちらをクリック!
exhibition catalogue is available from overseas.
click the photo.

遠足 excursion

昨日は来日作家の希望者を連れて、いろいろ東京の町を案内しました。
辻村寿三郎氏のジュサブロー館を皮切りに、鉄道歴史館で行われている鹿児島寿蔵展をみました。皆様、とても熱心でした。その後、原宿に移動し、表参道を歩きながら開催中の人形展の案内をしたり、デザインフェスタギャラリーで自由解散にしました。天気は暑いくらいの良い天気ですし、連休の人混みで表参道は大変。
最後は希望者を明治神宮に案内して本当の解散となりました。

写真は、明治神宮に行ったシルビア・ナテラー夫妻とアーリン・ナヴァロ夫妻です。
シルビアは自作でも紙で作る人形を大切に考えています。今の時点で自分の満足のいく作品ができる環境が整わず、今回はビスクのみの出品となりました。次は紙の人形を日本の作家にお見せしたいと考えているそうです。
Sylvia, Arlene and their husbands at Meiji Shrine on May 2.

2009年5月1日金曜日

写真でご報告 photo report

世界創作人形展の会場やイベントの写真を主催のドルスバラードさんのご厚意でいただきましたので、一部ご紹介させていただきます。
この写真は、会場入り口です。スイスのオルガ・ロエルさんの作品が皆様をお出迎えします。
On a cortesy of Dolsballad, I show photos to introduce some parts of the exhibitons.
This is the entrance of the exhibition.
Ms.Olga Roehl pieces welcome visitors.



会場風景
The exhibition site







オープニングでは、出品者の皆様を一人ずつご紹介しました。
イギリスからきたスーパーフロックのお二人が挨拶をされているところです。
At the opening, we introduced all the exhibitors who presented at the day. Here you can see Superfrock from the U.K. greeting in the right side.



夜には海外の出品者を交えて居酒屋での懇親会です。和食は好評でした。
At night foreign exhibitors enjoyed Japanese dishes together with Japanese artsits and staffs, at Japanese pub.





4月29日に行われたプログラム。「欧米の人形事情」では、それぞれの国の文化や人形製作のことなどを話していただきました。
この写真では、シルビア・ナテラーさんが会場に展示した思い入れのある作品「アマボ」について語っているところです。
On April 29 and 30, we had an program to commnicate with artists and visitors. On 29th, some foreign exhibitors presented their culture or their own doll making hisotry. Here Ms.Sylvia Natterer talks about her special piece for the exhibition, 'Amabo'.


これは30日に行われたプログラムで、「欧米作家の製作テクニック」です。ロシアのイマ・ナロディツカヤやスイスのオルガ・ロエルが実演を交えて丁寧に自作の製作技術を説明してくれたので、とても充実した内容となりました。
This is another program on April 30, about techniques. Russian artist, Ima Naroditskaya or Olga Roehl from Switzerkand demonstrated their technique in detail, so audiences appreciated rich contents.

世界創作人形展絶賛開催中!

怒濤の搬入から初日、二日目がすぎました。
この二日間はオープニングイベントや交流イベント、懇親会などがあり毎晩帰りが遅くなってご報告が遅れました。
会場は大盛況で、参加された作家の方々が世界がひとつになっていくのを感じられているのか、とても嬉しそうな表情をされているのを見ると、今までの疲れが吹き飛んでしまいます。
会場の作品は、ドルスバラードのウェブサイトでご覧になれます。

http://www.dolsballad.co.jp/

話題作もたくさん。お客様の反応も熱いです。ひとつひとつ作品をじっくり鑑賞していただき、また、ふだん人形展にあまり関心をもたれない男性のお客様のような方が、「いいですね」とご自分の好みの作品を海外作家の作品を評価してくださってます。

ここでしか見られない作品ばかりです。
どうぞ、お見落としのないように。

2009年4月28日火曜日

搬入終了!

たくさんの方に手伝っていただいて、先ほど飾り付けが終了しました。
なんとか無事に終わりました。
日本の方も力作をたくさん出してくださって、会場はまさしく博覧会場のようになりました。
いよいよ初日を迎えます。
皆様のご来場をお待ち申し上げます。

柴倉さん展示作品アップ

今朝、柴倉一二三さんの展示作品の写真が届きましたので、EXHBITSにアップしました。
サーニットの作品です。もちろん一点物。日本情緒が漂いますね。

わー! これから搬入です。 行ってきます!!

2009年4月27日月曜日

いよいよ

来日作家は続々東京に到着。
会場で日本の人と接するのを、とても楽しみにしています。
人形展で各国を歴訪してきた彼らも、日本での展示は初めてという人ばかり。
準備もフル稼働で追い上げています。

昨日は交流会に使う写真ファイルを用意しましたが、29日、30日はそれぞれ1時間半の予定があっという間に過ぎてしまうのではないかというほど、中身がどっさりです。とにかく、一人の作家に話していただく時間が10分から15分程度。それぞれきちんと話せば1時間以上の内容があるだけに、効率の良い進行を心がけたいと思います。

ティネのオランダの風土や文化と自作の関係、イヴォンヌのスピリチュアルな傾向の作風、オルガの独特な人形製作の課程などなど、日本で紹介されたことのないことばかりで、私自身も楽しみです。

2009年4月26日日曜日

交流会イベント

世界創作人形展のウェブを少し手直しして、更新しました。
ネル・グロッテデが、内容を変更して出発前日にデータを送ってきたので、内容を差し替えました。ギリギリのプレッシャーによっていい作品ができるんだから、という本人の弁明です。
海辺で遊ぶ赤ちゃんの人形がそうらしいですが、なるほど。

図録もできあがってきました。
今日はシルビア・ナテラー夫妻が日本に到着。昨日の悪天候が過ぎたあとで良かったです。
明日には来日作家のほとんどが到着します。

交流イベントに向けて、ただいま内容を調整中です。
30日の技術に関するプログラムでは、オランダのネルやアンキーには、ビスクを型を使わないで製作する方法や、ビスクの一点物のことなどについて聞いていきたいと思っています。型どりで数点同じ作品を製作するのを前提とするのがビスクの特徴ですが、一点物にこだわる市場のために作家がどういうアプローチをしているのかがわかると思います。
ロシアのイマは、この日のためにアイロンを用意して欲しいと言ってきました。何が始まるのかわかりませんが、当日、お楽しみに。

2009年4月25日土曜日

訂正!

「Exhibits」のページで、サシャ・ペトロヴァの人形が可愛いなあ、面白い!と見ていたところ、「栗鼠」と「狼」のキャプションが入れ替わってました。次回の更新時に直します。
これはビスクドールなんですが、いろいろポーズもとれるし、持ち物を代えて遊べるんですね。
狼の人形の横顔が、なんだかアニメの「鉄コン筋クリート」のキャラクターを彷彿とさせました。猫も栗鼠も、それぞれアウトローな性格が伝わってきますね。

ポポヴァ姉妹の人形もすごく迫力があって、このロシア若手の作品からは、リズムやビートのきいた音楽が聞こえてきそうです。

出品作品のページをつくりました

世界創作人形展の出品作品のページ「EXHIBITS」のなかで、今まで写真がでてこないなどのトラブルがある方がいらっしゃいましたので、新しく親戚サイトをつくり、メインのサイトからリンクさせました。
この引越にともない、シルビア・ナテラーやロシアの若手などのコンテンツが増えています。アメリカのゲイル・ラッキーも!
ロシアの若手の三人(うち二人は姉妹)、頑張ってますよー。ある面で突き抜けてるものを感じます。この人たちには、本当に来て欲しかったなあ、彼らも来たがっていたのに。
彼らは発送手段にも事欠く状態だったので、作品はロシアの「国際人形作家協会(IADA)」のプシェルニコヴァ会長が運搬することになったのですが、彼女自身も自分の人形と他の作者の作品も預かって、彼らの繊細なフォルムはスースケースのなかで無事に形をとどめているのだろうか??とそれだけが気がかり。
プシェルニコヴァさんはもう、東京に入っているので、事前に確認がとれたらと思うのですが、何しろロシアの人と私の緊迫感のリズムはずっとずれているので、うまくドッキングできるか、、、。

明日26日にはシルビアが、あさって27日には来日作家がほぼ、東京に集まります!
私も風邪なんて引いてられない、今日は声が出なくなってしまったので、即効点滴を受けてきました。もう大丈夫そうです。

2009年4月24日金曜日

状況報告

風邪を引いてしまいました・・・。

でも大丈夫。声が出しにくいだけで、業務は進めております。
昨日は会場の配置をドルスバラードの皆さんと考えてきました。
作品数が従来の展示数を随分上回っていますが、うまく入りそうです。

ウェブサイトの更新が滞ってますが、リンクがうまくいかないページもあるようなので、対策を考えながら新しいページも作っているところです。

2009年4月22日水曜日

'ehixits'のページ更新

世界創作人形展の出品作品「exhibits」のページを更新しました。
日本人作家のページにレプンクルさんの写真が加わり、また、ドイツのハンナ・ゲーツが出品作品を変更して、できたての作品写真を送ってきてくれましたので、写真を差し替えました。
また、ティネ・カマービークのページのページを作ったのですが、うまく表示できないので、データを取り下げています。しばらく、Not Foundになってしまってます。すみません。しばらくお待ちください。

世界創作人形展の図録


絶賛印刷中!

B5判40ページフルカラーです。
表紙はポポヴァ姉妹の「Skin」(出品間に合って良かったです!)



収録作品は、展示作品のものもありますが、今回の展示作品の系統で過去の代表作品を掲載されている方もいます。
1点の出品にかけて、まだ作ってらっしゃるタチアナのような作家もいますし、昨日、やっとできた!と写真を送ってきたハンナ・ゲーツのような人もいます。それはほんの一例、、、かな?

4/29と4/30のイベント

世界創作人形展
交流イベント
出演作家が決まりました。
会場や受付方法、参加費については、ウェブサイトをご覧ください。
当日の都合により、出演者に変更がある場合がありうることを、予めお断りいたします。

4月29日(水・祝)

タチアナ・バエヴァ(ロシア)
アーリン・フィッシュ・ナヴァロ(アメリカ)
シルヴィア・ナテラー(オーストリア)
イボンヌ・フリプシ(オランダ)
ティネ・カマービーク(オランダ)
スーパーフロック(イギリス)
*チャールズ・フィーガン+デスモンド・リンガード

4月30日

イマ・ナロディツカヤ(ロシア)
ネル・グロッデテ(オランダ)
アンキー・ダーネン(オランダ)
オルガ・ロエル(スイス)

実は・・・

DFJなどの締切に追われるような緊迫した生活から抜け出て1年以上の隔たりを経た今、今回の企画をきっちりこなせるか、今更ながらに大変なことを仕掛けてしまった、と思っています。
戦々恐々ってこういう気持ちを言うのでしょうか。
2004年の「球体関節人形展」の時も、本当に大変でした。あれは3,4人が中心のチームで形を作っていったのですが、その面子がそれぞれ同じ日本に居ながらにしてジャパンタイム、ヨーロッパタイム、アメリカタイムで活動して遂行できた部分があります。
あんなこと、もうできないなー(やりたくないなー)、と思ったのに、この有様です。
しかも企画エンジンは自分一人。ああ。
などと言っている暇はなく。
エンジン、かけます。ギア、いれます。
周囲の男性諸君はそうなった時の私が怖いと離れていくので、あまりそうはなりたくないのですが、そんなことは言っている場合ではありません。
主催者も会場も、とにかく参加作家の皆さんの期待がどっと詰まった企画です。
明日から、追加情報をどんどん、更新していきます。
ご覧あれ。

2009年4月16日木曜日

EXHIBITS-更新情報

世界創作人形展の展示作品がプレビューできる「EXHIBITS」のページを更新中です。

本日は、内田恵子さんと川崎裕子さんの写真と、イヴォンヌ・フリプシの作品を追加、オルガ・ロエルのできたてのほやほやの作品をアップしました。

皆さん、この展示にむけて力が入ってますー!
オルガも、かなり集中して制作していたらしいです。
イヴォンヌの作品は、今までに見たことがない柔らかさがでてきました。

2009年4月14日火曜日

世界創作人形展ウェブ更新

昨日図録を入稿、その間続々と届いていました出品作品の写真を、世界創作人形展の新しいページにアップロードしました。交流会や、宣伝印刷物のダウンロード用のページもつくりました。
ウェブの専門家でないので、一度に更新したので見づらいところなどありましたらご容赦ください。今後、改善していくつもりです。

まずは、出品予定作品をお楽しみください。

「出品作品」(exhibits) のページへ

このページは随時更新いたします。
ただ、ギリギリまで製作中!という方や写真撮影が間に合わない方もいらっしゃいますので、全貌は展示初日でなければわからないのですが、、、。

2009年4月13日月曜日

ヴィタ・キセリニウエネの出品

ここでもお伝えしたことですが、急遽、リトアニアの作家のヴィタ・キセリウニエネの出品が決まりました。世界創作人形展のサイトに作品写真をアップロードしましたので、ご覧ください。亜麻布や古布、糸などを使い、素朴で繊細なバランスを保つ人形で、私は個人的にとても好きな作品です。なんと今月に入ってからの出品交渉で、通常ならばお断りするところですが、互いに連絡が郵便事情ですれ違っていたことや、スイスのマヤ・ビルが手術で出品を中止せざるをえなくなったところだったので、今回出品のはこびとなりました。
図録編集をしながら、新たに一人の作家の資料を次々に寄せられ、なかなか厳しいものはありましたが、ファイルをあけるたびにユニークな作品が目に飛び込み、愚痴もどこかに行ってしまいます。
本人は来日しませんが、10点ほどの作品を展示する予定です。ぜひお楽しみに。
展示作品の写真も作家から続々と寄せられています。今日まで図録の編集にかかりきりでしたが、ウェブサイトでフォローしていきますので、どうぞチェックし続けてください。

2009年4月10日金曜日

図録編集

世界創作人形展では、出品作家をご紹介する図録を出すことにいたしました。
今、私がその図録を編集しています。もう、まったく綱渡りの作業です。国内の作家の方の連絡はスムースなのですが、海外の作家が・・・。ブラックリストが何人かいます。私の時間を返して、と言いたいくらい。
本当は今日入稿の予定だったのですが、今日の段階でまだ原稿のそろわない作家が複数います。
サシャは、何度メールを打っても答えてこないので、彼女の携帯に電話しました。モスクワの携帯にまでかけてくると思わなかったのでしょう(私だってかけたくないです)、彼女は驚いてましたが、これでそこは一挙解決。作品がとても素敵だから憎めないです。
一方、偶然、マヤビルと入れ替わる形になって、リトアニアのヴィタ・キセリウニエネという作家が出品することになりました。彼女には昨年の春に出品を打診したのですが、ずっと返事がなくあきらめていたら、先週、「まだ大丈夫でしょうか」という連絡があったのです。その間、相互に連絡をとりあっていたのが、ともに相手に声が届いてなかったようです。お国の事情かとも思いますが、今、そのブランクを埋めるべく、昨日から今日にかけて何十通のメールとデータのやりとりをしたでしょうか。相手にも、「あなたはいつ寝ているの?」と書かれたほどです。
明日は結婚式に呼ばれてますので、目に隈がでないように早めに寝ないと、とは思っています。

2009年4月9日木曜日

海外作家との交流イベント

世界創作人形展の開催期間中のイベントのご案内です。

■ オープニングのご挨拶

4月29日(水) 午後6時 
展示会場にて、出品作家の皆様をご紹介いたします。
参加無料

■ 海外作家との交流イベント

4月29日(水) 午後2時半〜午後4時
「ヨーロッパの創作人形事情」
来日作家数名による写真を交えたプレゼンテーション・質疑応答
参加費:1000円


4月30日(木) 午後2時半〜午後4時
「欧米作家の人形制作テクニック」
来日作家数名による解説・質疑応答
参加費:1500円

両イベントともに先着100名様まで:
司会 羽関チエコ(HAZEKI office)
申込/受付開始 当日午前9時から(展示会場)
午後2時からは、日経セミナールームにて受付いたします。
開場 午後2時20分

*各イベントの出演作家については、随時このブログとウェブサイトでご案内いたします。
29日、30日のイベントは、この円高の日本に来てくれる作家に、少しでもコストの還元をする目的で企画いたしました。会場費や実費などの他は日本人スタッフはボランティアで、参加費は出演作家に配分されます。
皆様のふるってのご参加のご協力をお待ち申し上げます。

2009年4月7日火曜日

マヤ・ビルの来日中止

来日を楽しみにしていたスイスのマヤ・ビルですが、背骨の故障で手術、入院が長引いており、今回の来日を残念ながら見合わせることになりました。出品も難しい模様です。
とにかく今は、彼女の快復を祈ります。
そのメールが届いた同じく昨日、昨年春から連絡が途絶えていたリトアニアの作家が、長ーい時間を経て、出品したいと返事をしたのにどうなんでしょう、と、代理人経由で問い合わせがありました。ロシアとその近隣諸国は郵便遅延がとても多く、相互で「送ったのに届かない」とか、届くにもものすごく時間がかかることが、私自身の例でもけっこう見られます。その情報の真偽も含め、何があっても驚かないつもりで構えるのが肝要ですが、日本人の方を対象にしたプロジェクトではそれは通じません。彼らのスタンダードに巻かれないよう、私のスタンダードも押していかねば、と、言うべきときは強く言ってます。ハゼキって難しくてうるさい、厳しい、って思われてるかもしれません。

リトアニアの作家については、出品を迎える方向で調整中です。

それからポポヴァ姉妹ですが、「私たちはロシア人で、最近ウクライナに越してきた」ので、国はロシアと表記するのは間違いない、とのことです。
厳密に言えば、オルガ・ロエルはスイスに引っ越したので、「スイス」と表示してますが、ご主人の出身のドイツに住んで暮らしていたときに出品が決まったので、最初は「ドイツ」でした。でも彼女の出身はラトヴィア。
さらに言うならば、シルビア・ナテラーは「オーストリア」としてますが、彼女ももともとはフランス語圏のスイス出身。ドイツ人のご主人と暮らしてミュンヘン時代が続き、今はオーストリアに在住、、、ということなのです。

2009年4月6日月曜日

ポポヴァ姉妹に関する状況

ロシアの人形展に行かれた方は思いが及ぶかもしれませんが、ロシアの方と連絡をしたり打ち合わせをしても、ものごとが思い通りに運ばなかったり、情報が入らなくてやきもきします。
他の国とのやりとりで、日本人のまじめさは世界に共通するものではないことは思い知ってますが、それにしても対ロシアはなかなかリズムがあいません。
それはポポヴァ姉妹も同様だったようです。

まず、私はひとつ訂正とお詫びをいたします。ポポヴァ姉妹はウクライナ在住でした。
彼らも情報を訂正しないので気づかなかったのですが、今回来日を断念することになり、作品の輸送の難しさを訴えるので事情を詳しく聞き込んでこの事実に気づきました。印刷物の手配などは済んでしまったので、追って訂正をかけるつもりです。
彼らも来日にあたり、モスクワからのグループで来るつもりだったのが、そのグループが解散し、来る人は個別で来日することになったのです。その経緯もよく分からぬまま彼らは結果を受け入れるしかなかったようです。彼らが来日するにはビザ申請という大きな壁があり、加えて円高という事情から、グループ化をはかったようですがうまくいかなかったのでしょう。
私もその訪日グループのために宿泊施設を手配して欲しいと代理店から依頼されたので宿をおさえて心配していたのに、その後、それが解散したことは知らされませんでした。そして、その一人が先に来日したので、「あのグループはどうなったの?」と聞くと、「それぞれ予定がまとまらないから解散したの。宿はキャンセルしていいわ」で終わりでした。

結局ポポヴァ姉妹は自分で発送する方法を探り、モスクワから来日するメンバーに作品を託す方向で、交渉を続けてきたらしいのですが、その連絡も途絶え勝ちらしく、やきもきしていました。自分たちで輸送するにしても日本からは便利なEMSも、彼らにとっては非常に厄介な書類作業があるらしいのです。

まだあちらの国は、お金と情報のある人とない人の格差が大きいようです。自由さもそれに影響されるでしょう。ロシアや近隣国の不便さを改めて思い知りました。
そのようななかで、精神の自由を謳歌する素晴らしい芸術作品が生まれてくるのは奇跡的なことに思えてきます。

2009年4月4日土曜日

世界創作人形展のフライヤー

世界創作人形展のフライヤーができました。印刷して配布されるのはしばらく先になります。
A4判の三つ折りのスタイルになります。
29日、30日に海外作家との交流イベントも予定しております。
各画像をクリックしていただければ拡大画像がご覧になれます。









なお、来日する予定だったサシャが来日中止となりました。
また、ポポヴァ姉妹の出品も今、未定の状態になっております。
詳細が分かり次第、またここでお知らせします。

木立真佐美さんの個展

昨日は、球体関節人形展で出品された木立真佐美さんの個展に行ってきました。
意外でしたが、今回が初個展だったそうです。

http://www.geocities.jp/animisticworld/

部屋に入りきらないほどの大きな人体から70センチくらいのものまで、粘土や樹脂など異なる素材で今までの制作の集大成を見せていただきました。透明樹脂に玉虫などの有機的な異物を混ぜこんだり、体の表面にサイケデリックな感じの文様があしらわれるのは深層心理に介在する人の姿のイメージのようにもみえ、木立さんの作品の特徴だと思いました。タイトルに「アニマ」と掲げるシリーズがあったので、ユングがお好きなんですか、と聞いたら、ビンゴでした。
後で知ったのですが、木立さんは私の子ども達も通った中学校で美術を教えられてました。今も現役の美術教師であり、そのウェブサイトで子ども達の作品も見られます。
どんな授業か、興味がありますね。

2009年4月2日木曜日

大竹京さんの記事

アメリカの「ドールズ」誌に寄稿した大竹京さんの記事が掲載されました。
P40から8ページにわたる掲載です。

http://www.dollsmagazine-digital.com/dolls/200907/

大竹さんは子供の頃、大きな家で一人で過ごさねばならないことが多く、小さな人形であきたらず、友達としての人間の存在を感じたくて、身の回りのもので等身大のかかしのような人形を作り自分の服を着せて、一緒に遊んだりしたそうです。その頃の記憶が今の制作に影響があるかもしれない、という内容のお話をこの記事で紹介しました。
「ドールズ」はGWに開催される世界創作人形展に協賛、ご来場者でご希望のあった方は3号分のデジタル版を無料で試読できます。

2009年3月30日月曜日

忙しくなってきました

昨年1年、ペースを落としていたせいか、すぐに仕事がたまります。
ブログの更新も遅れてしまいました。

藤田博史氏のバーでの対談のご報告も、と思いながら、時間がどんどん経ってしまいます。考えていることはどこかで書くと思います。
藤田氏は、「大航海」という雑誌に「量子論理的『現代美術批評』批判」を執筆されたばかりで、対談ではその視点からの指摘も感じられるものがありました。

去る22日には、人形劇映画では私が一番好きなイジィ・バルタ氏が武蔵野美術大学で新作の紹介と公演をするというので、胸弾ませて参加しました。素晴らしい充実した内容でした。全国から、ファンがこの公演を聞きにきていました。長年温めてまだ資金ぐりのメドがついていないという「ゴーレム」のパイロットフィルムを見て、本当にこれがなんとか完成しないものかと願います。

昨日は、ロシアで一番読まれている人形専門誌「ドール・マスター」のオルガ・ラクヒナ編集長が日本特集号の準備で来日し、京橋のドルスバラードで面会しました。その後、辻村寿三郎さんやボークスのショールームを案内して、日本の人形シーンについてかいつまんで説明した一日となりました。

オルガの話では、ロシアの人たちが大挙して来日するという予定が、ダウンサイズしたらしいです。かつ、残念なのが、サシャ・ペトロバの来日中止。やはり経済的に円高の日本に来るのは厳しかったようです。
世界創作人形展の準備も少し遅れ気味ですが、進んでいます。
出品リストも出始めました。写真があるものもご紹介する予定です。

2009年3月18日水曜日

明日、新宿で。

私には自分個人の活動のお知らせが、すっかり落ちてしまう傾向があるのですが、今回もその一例です。
明日、新宿ゴールデン街にある「クレマスター」というバーで行われるゼミにゲストコメンテーターとして30分ほど引っ張りだされることになりました。
「クレマスター」は、精神分析医の藤田博史氏が開いているバーで、週に1度、藤田氏のもとで参加者が様々な話題について考えます。参加者の一人がひとつのテーマについて発表する「トピカ」という30分のコーナーで、発表者の榊山裕子さんのテーマにおつきあいします。

テーマ「人形と彫刻はどう違うのか?」
http://foujita.vis.ne.jp/semiprive2009.html

榊山裕子さんは「ドール・フォーラム・ジャパン(以下DFJ)」で「ベルメールから」という連載執筆をされていました。ハンス・ベルメールがなぜ日本においてこれだけ強く反応されるのかというテーマをきっかけに、現代日本の人形表現や心理について、特にジェンダー的な視点から様々な考察を試みました。また、DFJでは人形をテーマに公開精神分析の実験を目論んだ藤田博史氏の公開セミネール「人・形・愛の精神分析」を2年間主催しました。この記録はDFJにも連載され、青土社の氏の著書「人形愛の精神分析」にまとめられています。連載の折には、人形作家の秋山まほこさんが美しい写真を毎回、制作されました。
球体関節人形にこだわる日本の人形について深く考察したい方は、このお二人の考察を読まれることをぜひお勧めいたします。
特に、「球体関節人形」を自分の活動の上で標榜される方には、必読書だと思います。
新宿紀伊國屋画廊では、折しも「エコール・ド・シモン」展を開催中(24日まで、最終日以外18:30終了)。お時間のある方は、人形展がてら、お気軽にお立ち寄りください。

2009年3月17日火曜日

スーパーフロック登場

「世界創作人形展」のphoto albumのページに、イギリスの「スーパーフロック」と、オランダの「ヘニー・コフリー」の資料をアップしました。これでやっと海外作家の作品紹介が出そろいました。スーパーフロックは、正直を言うと10月にモスクワで彼らに会うまで知らなかったのですが、出品を打診したところ、日本に大変興味があってぜひ来たかったということで、今回の運びとなりました。とんがったファッションの本場、ロンドンからどんな風をおこしてくれるか楽しみです。
今、図録の制作にむけて原稿がどんどん寄せられて来ています。また、出品予定作品のプレビュー用の資料も徐々にたまってきました。準備ができ次第、公式 サイトでご紹介していきたいと思います。

2009年3月10日火曜日

アーリーンのウェブサイト

世界創作人形展への参加を機に、アメリカのアーリーンが自分のウェブサイトをたちあげました。タイトルからリンクしています。
まだ始めたばかりなので、コンテンツはこれから増やしていくそうです。
世界創作人形展サイトのartistsからもリンクしています。

2009年3月9日月曜日

緩和休題

変換ミス、そのほうがあたっているので、そのままに。

しばらく前から続いている床上書類掃討作戦は続行しており、視認しうる床面もでてきました。
と、そこに天上から国産レスポールモデルのエレキギターとミニアンプが舞い降りてきました。
正確にいうと、天井の上の2階からです。
これで今は、ノイズ系パンクの曲を制作中。バンドを組んだのですが、メンバーは行きつけの店のドラムのリョウ君のみ。練習スケジュールを組みました。一番下の息子より若いのに、彼と目指す方向とセンスがあって嬉しい。年内ライブをめざしてます。今まで見たことのないすごく変なバンドになりそうです。
人形の世界は好きだけど、人形人形と言ってると私のような者はすぐに息が詰まってしまいます。今はこれで酸素吸入。

2009年3月5日木曜日

予告DM

今日は、世界創作人形展の予告DMを制作していました。
本編はチラシのスタイルになる予定です。
今回のものは予告的なつもりで作りました。500枚つくり、人形展の会場などに置いていただこうと思います。
久しぶりにグラフィックソフトを使い、原稿をオンライン入稿するために、パソコンの前で根が生えたような状態になり、目と肩がガチガチ。ソフトも古くなっていて、あちこち修正しながらやっと仕上がりました。

2009年3月4日水曜日

世界創作人形展図録

世界創作人形展の図録を、ドールフォーラムジャパンで出していた「Ningyo Scene」のスタイルで制作させて頂く予定です。
ところで、協賛団体になっているロシアの「世界創作人形協会」の会長が発行する「Doll World」が本展の特集号を組むそうですが、そのために1ページ100ドルの掲載料で原稿を募っています。
しかし日本の主催者の発行する公式図録は掲載無料であり、ロシアの「Doll World」のビジネスとは関わりがないことを、関係者の皆様にここでお知らせいたします。

2009年3月3日火曜日

芝原人形展

今日は、「ドール・フォーラム・ジャパン」で「人形の風景」の連載にご登場いただいた芝原人形の千葉惣次さんと真理子さんご夫妻を訪ねて、お宅の工房で今日まで開催されていた人形展に行ってきました。
工房は千葉県の中心の山間部、長南町にあります。雛人形の時期にあわせて、今日が最終日。
ご自宅横にある会場の工房は、古民家の材料を使って千葉さんが再構築したもの。土壁をご自分ですべて塗られたそうです。ストープの薪を燃やして室内をいぶすのは、虫除けのためで毎日の作業です。裸電球の暖かい色合いのなかで、古い道具に囲まれた芝原人形はなんとも素朴な愛らしいものでした。私も赤字生活脱出!を祈願し、縁起をかついで大黒様の人形を買ってきました。
千葉さんの人形や日本人の生活文化に関するお話はいつも興味深いものでした。そのエッセンスは「ドール・フォーラム・ジャパン」44号のご夫妻の特集号「畏れと祈り」に詰まっています。大変好評の号で、残部もあまりなかったと思います。ご関心のある方は、右サイドバーの「アラビク」さんにお問い合わせください。

2009年2月28日土曜日

アーリーン・フィッシュ・ナヴァロ

アメリカのアーリーン・フィッシュ・ナヴァロの作品を「世界創作人形展」のフォトアルバムにアップしました。
アーリーンとはニアダで会いました。たいへん情熱的で、感激したときの表現がアニメのキャラクタ−みたいなオーバーアクションで楽しい人です。ご主人のラリー氏がアニメーターであることから、二人して大の日本ファン。アニメもよくチェックしていて、ご主人は日本語の勉強もしています。
アーリーンの作風はアメリカの創作人形らしい造形と表現です。

それから、協賛団体の項目に、ロシアの国際作家協会International Association of Doll Artistsを追加しました。

2009年2月27日金曜日

DOLLS 大島さんの記事

以前こちらで触れました、大島和代さんについて私が執筆しました記事が掲載されているDOLLS(アメリカの人形雑誌)が刊行されました。
タイトルのリンクから、デジタル誌面をご覧になれます。
大島さんの今までの取り組みや、現在の制作や平和に対する思いなどを取材し、書かせていただきました。いずれ、日本語でも誌面の内容がご紹介できるようにしたいと思っております。

また、私が取材協力しましたJAL機内誌「SKYWARD」3月号も刊行されました。英語版のページで人形特集をしています。この記事のなかで、四谷シモン氏や紅樹時雨氏の作品も紹介されています。ライターの女性は、私が日本の人形文化の概要を説明したとき、書くべきことが多岐にわたって大変そう!と驚いていましたが、その後よくリサーチをされ、通り一遍でない現代日本の人形文化の紹介記事としてうまくまとめられたと思います。機内でしか読めない雑誌ですが、インターネットで取り寄せができるようですので、ご関心のある方はこちらへ。
http://www.jal.co.jp/inflight/skyward/

2009年2月16日月曜日

水澄美恵子さんの「木造校舎の子どもたち」

羽関オフィスでは、水澄美恵子さんの小学生の人形作品のシリーズを、「木造校舎の子どもたち」として、プロモーションのお手伝いをしています。
このシリーズは近年、水澄さんが制作に力を注いでおられるものです。その生き生きした表情の人形を、多くの方に見るチャンスをご提供できるようにしたいと思っています。
このたび、専用ウェブサイトを立ち上げましたので、ぜひご覧下さい。


2009年2月15日日曜日

コピーバンド

昨晩はいつも行くライブハウスでビートルズのコピーバンドが出演しました。私はマニアでないので詳しくは評せませんが、オリジナルに忠実で演奏も完璧でした。ビートルズの曲はたくさんありますから、特にファンでなくてもなじみの曲や好きな曲はあると思います。誰もが何らかの形で楽しめるライブでした。
それを聴きながら思ったのが、生き人形のことでした。人の形をつくる人形作家にとって、本物の人間はいわば、オリジナル。どれだけそれを忠実に再現できるかという、明確な技術的到達目標が与えられるのだと思います。多くの人にとって、ひとがたのデフォルメから入り、人形制作を進めるうちに、技術の向上を目指してリアルな描写を競い合うという傾向が数年前に見られました。折しも生き人形の展示が相次ぎ、松本喜三郎ら職人の仕事への再評価が高まった頃でもあります。偶然ですがその頃、欧米でもドイツのグンツェルをはじめ、人形作家の表現はリアルさを増していました。
では、その技術への希求が行き着いたその先は? 
そこに留まり職人の精神性を追求する人もいれば、様式化に再び向かう人もいる。国内外とわず方向性を見失っている人も見受けられます。
ブームから時間がたった人形の動向をさまざまな視点でみると、現代という時代が浮き上がって見えてくるような気がします。

2009年2月14日土曜日

展覧会2件

昨日は、ここでもご紹介した「ホピ・カチーナ人形展」と荒木野馬さんの久しぶりの個展をみてきました。
それをデザインと言っていいんでしょうか、カチーナ人形において多神教のキャラクターをこう表現したアメリカ先住民の精神世界にとても引かれます。かって、サンタフェで「サンタ・フェ・ドールアート」という人形展が開催されていて、私も5年ほど毎年通ったことがあります。この地域もアメリカ先住民の文化があります。ニューメキシコ州のその地域は、ニューエイジでも知られていて、UFOがよく現れるといわれてました。ナスカの地上絵といい、異星人の文化の影響があったという説にはなんとなく同感します。カチーナ人形展は15日までです。
その会場から100メートルも離れていないような場所で、荒木野馬さんも個展を開催しています。体調を崩されてブランクがあったそうですが、新作の人形は力強い印象がありました。また大きな動物の関節人形は荒木さんらしいボリュームと豪華さがあります。こちらは21日まで。

2009年2月10日火曜日

ロシアの団体さん

ここのところ、私にとって新しい試みがいくつか浮上してきて忙しくしておりました。
その間にも、世界創作人形展開催準備も続けております。
来日する方々にとっては渡航準備がありますが、今回、ロシアの人たちが総勢で20人を越えるグループになることがわかり、嬉しいようなびっくりの状態です。
この展示に対する期待の大きさを感じます。
ただ、ロシアの人たちはビザの申請をしないと入国できません。
私もロシアに行くときは、面倒な手続きが必要でしたが、彼らが日本に入国するときはさらに面倒な印象です。
ロシアからは、ワクタノフギャラリーやロシアを拠点とする「世界人形作家協会」も出品することになりました。
海外作家との交流の機会には、日本の作家の方や有志の方のご協力なしにはできないと思います。また企画の具体案が決まりましたら、こちらでお知らせいたします。

2009年2月4日水曜日

「人形がたり 〜たまさか人形堂より〜」

先日もここでご案内したことですが、DFJのBNを扱っている大阪の書肆アラビクさんの人形展が2月5日からはじまります。山本じんさん、山吉由利子さん、井桁裕子さんなど出品されます。
津原泰水氏の小説『たまさか人形堂物語』の発刊を記念した展示で、著者の公開インタビューも同店で開催されるそうです。小説は、店主の森内氏によれば「可愛らしい装丁とは裏腹に、人間へのシビアな視点が描かれた物語です。」だそうです。
詳細は右のサイドバーのリンクからご覧になれます。
アラビクさんのある中崎地区は、大阪で下町を若い世代が再構築している新しい人気スポットになっているそうです。お近くを訪れる方は、ぜひこの機会にお立ち寄りになってみてください。

2009年2月2日月曜日

過去の自分に出会う

ここのところ、急な仕事をふくめいくつかの仕事が同時進行することになりました。今までのちょっとのんびりした状態では間に合わなくなってきましたので、仕事場所を片付けはじめました。
処分するかしないか、過去の書類の山と格闘してますが、過去の自分の仕事量に今の自分が恐れ入ってます。よくやったねえ、といいつつ、過去の自分ができなくて今の自分ができる仕事を始めるために、捨てられなかったものにどんどんサヨナラすることにしました。
ドール・フォーラム•ジャパンを作っているときのあれこれのメモ書きまでが愛おしく思えますが、それもばっさり。
一人では心身ともに重労働なので、かって取材を手伝ってくれた長男をかりだし手伝ってもらってます。やっと床が見えてきた、、、。

2009年1月28日水曜日

ホピ・カチーナ人形展

先日このブログで書きました、渡辺純子さんが取り組まれているカチーナ人形の展覧会があります。

「ホピ・カチーナ人形展」」 
2/9(月)〜2/15(日)
於:ギャラリー悠玄
http://katsina.blog29.fc2.com/
http://katsinamanas.blog22.fc2.com/

詳細や他の展覧会情報は、右のサイドバーのドールフォーラムジャパンのウェブサイトもご覧頂けます。

2009年1月26日月曜日

黒谷都さんの新スタジオ


異色の人形遣い、黒谷都さんを2004年の「ドール・フォーラム•ジャパン 42号 〜傀儡女(くぐつめ)〜」で特集させて頂いたことがあります。当時、黒谷さんはご自身の稽古場と公演会場を兼ねた活動拠点「国立ラボ」の工事をしているところでした。取材はその工事現場で行われました。(写真) 彼女はどの劇団や組織にも属さないソロプレイヤーですが、彼女を中心にいくつかのユニットが生まれています。

前衛的な表現のせいか、女性だからか、人形劇関連のメディアの前面に浮上しづらい構造があるようで、彼女を中心に取り上げるメディアはDFJが初めてと聞いて、彼女の経験の長さと根強い人気を見るにつけ、私のほうが驚いたくらいでした。
しかし人形劇研究の第一人者、加藤暁子さんは黒谷さんに注目をし続け、最近の著書「日本の人形劇」(法政大学出版局)で、150年の人形劇史を解説する本文の最終部で彼女を取り上げました。最終部は著者が一番思い入れのあることを書くことが多いので、そうだとすればこのことは私も嬉しく思います。
この本では、DFJも参考文献としてとりあげられました。玉木暢子さんの「舞台の上の人形たち」(29号〜50号)で取り上げられた方々も紹介されています。
昨年、国立ラボでの公演がスタートしたことを知り、北井あけみさんと黒谷さんのユニット「ake_miya」の公演「モアレ」を見に行くために今回初めてラボを訪れました。公演を見ての感想や、そのときに人形劇について考えたことなど、私論を後日ここで書いてみることにします。
黒谷都さんや国立ラボの記録は、「genre:Gray」をご覧下さい。
         

2009年1月22日木曜日

写真構成「ホロコーストとガザ」

今日は仕事とは直接関係のない話題ですが、大事なことなのでご紹介します。
親愛なる茶飲み友達のあるはべさんは、社会における差別問題を自身内部の次元で深く思索している人です。
ときどき彼から、貴重な情報が寄せられます。今回のメールは、私個人の立場としてもこのブログに縁のある方に見て頂けたらと思いました。私は常々、イスラエルのパレスチナに対する暴挙が、彼らに被害を与えたヒットラー政権とどう違うのだろうと疑問を持っていました。あるはべさんからのこのメールをみて、我が意を得たり、と思いました。ご本人了解のもと、引用させていただきます。
非常に酷い写真が含まれていますので、ご了承ください。
身体イメージを自由に解体再構築することが多い人形作家の方は、特に加虐的なイメージを扱われる方は、こういう世界の現実の認識の上になされているものかどうかで、表現の重さがまったく変わります。
私たちはこういうことが、現在も世界のどこかで繰り返されている現実として受け止める感覚が鈍っていると思います。世界平和にはあまりにも非力な自分ですが、せめて脳内の贅肉を落とすことから始めたいと思っています。

〜以下引用〜

SOTT 制作・写真構成
「ホロコ〜ストとガザ」
   ↓
http://axisoflogic.com/artman/publish/article_29348.shtml

http://axisoflogic.com/artman/publish/article_29350.shtml

第二次世界大戦でナチの迫害を受けたユダヤ人。
その孫たちが今、同じことをパレスチナ人にしています。
白黒写真は、主にアメリカで入手できる歴史の本、百科事典、図書館、博物館などから再録されました。

〜引用終わり〜

2009年1月21日水曜日

新年会

先日、DFJの事務所も兼ねていたギャラリー「ノンクプラッツ」のイベントを影で支えてくれた人たちを中心に久しぶりに再会、新年会をしました。ノンクプラッツがあった頃は、持ち込み手料理などで夜通し飲み明かしたことがよくありました。その場所が今はなくなりちょっと寂しいですが、時代は変わります。それぞれの場所でそれぞれができることをしながら、今度はなにかあったら助け合う仲間としてまた駆けつけ合うことになるでしょう。



佐藤美穂さんの個展は、この不況にも関わらずたいへん好評のうちに終了したそうです。
ファンだけでなく、初めてみかけた人が会場に入ってきてしっかり鑑賞されていったそうです。
展示風景はドルスバラードの「過去の歳事」で見ることができます。
http://www.dolsballad.co.jp/

2009年1月19日月曜日

「くるみベビー」とオバマ大統領就任

フランス在住の大島和代さんから、「平和への願い」と題して作り続けている「くるみベビー」が、ついに1000体に達したとの連絡が今日入りました。日本でも写真や実物が折に触れ紹介されているものです。
なぜ今日か? 
明日はオバマ大統領の就任式です。大島さんはこの人形を千羽鶴のように千体つくることにご自分の平和祈願をかけてきました。お父上が原爆被爆者であった経験から戦争への恐怖は肌身をもって感じている大島さんは、湾岸戦争が勃発したときに地続きのパリで、ものつくりでしかない自分の無力さを思いとても落ち込んだそうです。しかし様々な本を読んで希望を取り戻し、「くるみベビー」の展示を通して世界平和の願いを訴えたいと考えるようになりました。その話は近々、アメリカDOLLS誌に掲載される予定です。

そんな折に誕生するアメリカ新政権。オバマ大統領による政治の変革に期待をかけ、就任までの彼の無事を願い、大島さんは今日までに目標の1000体を仕上げられたそうです。
100年に一度の経済危機や世界紛争の解決への希望の核に据えられるオバマ大統領の重責は、我々庶民が想像できるようなものではないと思います。既にほころびがでました。ガザへのイスラエルの攻撃に対して、クリントン次期国務長官を通してイスラエルを擁護する見解が出され、失望する人は多かったと思います。これは、アメリカという国のスポンサーである軍需産業を温存せざるを得ない限界を既に示してしまってます。
でもこれでは何も変わらない!
幸い、アメリカには自浄作用があり、自らの毒を自ら糾弾します。ガザ侵攻の悲惨な状況も、アメリカのニュースでは年末から昼夜問わずずっと流していました。これからはオバマ政権に期待するからこそ、方法や政策を批判する声もアメリカ国内で多くあがることでしょう。
これに対して日本のメディアの取り組みの反応の鈍さをずっともどかしく思っていました。さらに、日本の政治家もメディアも、国際関連になると日本がどうみられているか、日本がどう取り上げられたか、という話ばかりの自意識過剰気味な報道。もう、そういうレベルを脱してほしいと願います。せめて、日本のメディアは横並びの報道を、いいかげんに卒業してほしいものです。

2009年1月17日土曜日

佐藤美穂さんの個展

今、東京の松屋銀座で佐藤美穂さんの個展、絶賛開催中です。1月20日まで。
良質のファッションマガジンのように、佐藤さんの人形も、同じスタイルにとどまらず必ず時代を映して進化してますね。
いつもながら、顔が、特に目がとても魅力的でした。
佐藤さんのサイトのnoteも、ときどき楽しみに読ませてもらってます。
彼女は文章がうまい人だと思います。人形でとても人気のあるサイトですが、文章の魅力もあるのではないでしょうか。着飾らず何気なく鋭くものを書ける人だと思います。
ご本人が本をよく読まれているということもあるのでしょう。おしゃべりをすることがあると、いろいろなことに気づかされます。
世界創作人形展では、本人があえて避けていたファンタジーのテーマに挑戦とのこと。今から楽しみです。

2009年1月16日金曜日

押井守監督の「鉄人28号」

人形をテーマにしたアニメ作品「イノセンス」をお手伝いさせて以来、折に触れ押井守監督の作品を見させて頂いてます。昨日は舞台「鉄人28号」を見ました。押井監督が舞台演出にいつかは挑戦したいけど実現は難しそう、という話を御本人から聞いたことがあります。それが実現して、監督もさぞ喜ばれているだろうと思います。
舞台作品は押井カラーが色濃くでています。監督が好きな犬中心のストーリー展開においてはもちろんのことですが、アニメ作品でよく「難解」と指摘され睡眠波の発生源となっている70年代の学生運動の演説のような長い台詞回しは、70年代以降の新劇では珍しくないことなので、役者という肉体を通して自然の芝居の空間になじんでいました。舞台好きなファンが見る分には違和感を感じないと思います。とすると押井監督のアニメ作品というのは、日本の前衛演劇のメソッドに通じる要素がたくさんあったのだろうと推測することができます。
また監督の実写映画だと、アニメ作品のそれを応用しているからなのか、映像上の人物の動きの流れに、今ひとつぎこちなさを感じざるをえませんでした。(そういう意味では開き直って役者の動きを封じた「立喰師列伝」は正解だし、いろいろな意味で傑出した作品だと思います。自分がちょっと出演したから言うわけではなく、日本を代表するB級映画として評価されてもよいかと思います。)
舞台というものは、いったん走り出すと役者という生身の肉体がオーラを放ち、空間を支配します。今回の舞台では魅力的な俳優たちが存分に歌と演技を披露し、そのパワーに身を委ねられました。もちろん、押井作品に欠かせない川井憲次氏の音楽、舞台中央に添えられた巨大な鉄人の存在感は不可欠でした。特に、川井節ともいうべき流れるような重層なストリングスと、稼働していない状態の巨大な鉄人の虚ろさが絡み合って、どの押井監督に通底する独特なメランコリーがここでも確かに感じられました。
押井作品にしてはドラマ展開がはっきりわかり、歌と踊りあり、こんなサービスの行き届いた仕上がりは初めてなのではないでしょうか。
ひとつ欲をいえば、芝居は舞台と観客がつくるもの。一方的に情報を流す映像作品とは異なります。個人的にはもう少し気楽に、客席との距離の狭い芝居小屋でチープな感じで楽しみたかったかなあ、と思いました。

2009年1月13日火曜日

世界創作人形展 今後の取り組み

ただ今、広報活動を中心に準備を進めているところです。
また期間中には、来日作家との交流イベントを企画しています。
せっかく日本を訪れてくれる作家の皆さんに、技術や人形にまつわる話をしていただく機会を設けるつもりです。

また、実際に出品していただく作品写真を順次公開していくつもりです。
更新情報はこちらのブログでもご報告いたします。

2009年1月11日日曜日

ガザに平穏を

前にもこのブログで書きましたが、私がとりあげている創作人形は、平和でゆとりのある環境がないと生まれてこないものです。もちろん、創作人形作家の道を選んでハングリーな生活を強いられることはありますが、それでも社会レベルではゆとりがあり平和は維持されています。

イスラエルには創作人形作家がいます。
しかし、パレスチナやレバノンに、創作人形作家がいるという話は聞いたこともありません。

イスラエルの作家とは何度かやりとりをしたことがありますが、これは他意はなく、私個人が関心をもてない作品だったので、関係は続きませんでした。欧米の作家の作風と同様の作品でした。

今、日本で人形を話題にできる自分たちの幸福を、改めて感じます。
しかし今、ガザで戦火の下にある人々、特に子ども達に対して自分は非力でしかありません。
せめてこのブログを通し、あの人々の平和のために祈る力のひとつでありたいと思います。

2009年1月9日金曜日

カチーナ人形

カチーナ人形とは、アメリカの先住民、ホピ族が儀式に使う人形のこと。彼らが信仰する精霊のキャラクターの木製の人形ですが、ヨーロッパのダダイストやシュルレアリストたちが注目、アンドレ・ブルトンやマルセル・デュシャンもコレクションしていました。2005年にはドイツの美術家ホルスト・アンテスのコレクションを紹介する全国巡回展があり、DFJでも45号で取材しましたが、現代でも通じるそのデザインの斬新さや種類の豊富さには驚かされます。そしてなにより、愛らしく、人形好きな日本人の感性にもぴったり合うでしょう。
現代でもカチーナ人形はホピ族の職人によって作られています。その紹介に取り組んでいるのが、SW Japanの渡辺純子さん。
日本での大人のファッションドールブームに先行して、バービー人形の価値に着目、その世界の第一人者といってもいい人形のスペシャリストです。常に先鋭的なセンスで、ビリーボーイの「ミドヴァニィ」のプロモーションもてがけられています。
昨年はカチーナを扱うKatsin' Manas というブランドをたちあげ、専用ブログでは、多彩な精霊たちについて、個々に説明があります。2月には銀座で展示を予定されているそうです。ぜひチェックを。

2009年1月8日木曜日

石塚公昭さんから

黒人やジャズ・ミュージシャン、今は文士をテーマにひねりの効いた上等なユーモアセンスを感じさせる人形と写真作品を作り続ける石塚公昭さん。
しばらくごぶさたしていましたが、年賀メールに最近のお仕事の報告がありました。
東京の都営地下鉄にある「中央公論Adajio」の表紙を制作されています。

モデルがあるポートレートは、絵も人形も、どうしても作者本人を映し出すような「癖」のようなものが気になってしまうものが多いように思います。でも石塚さんのポートレート人形や写真は、そういうものを感じません。見た人によって感想が違うかもしれませんが、彼が愛すべきモデルに抱いている感情の「透明性」のようなものかと思います。石塚さんらしさを指摘するとすれば、その上質なユーモア感覚でしょう。洗練された噺家の落語のような。
彼の「身辺雑記」も面白いです。今は、小津安二郎を制作中、だそうです。

2009年1月6日火曜日

イマ・ナロディツカヤ

ロシアのイマ・ナロディツカヤの写真を、「世界創作人形展」のフォトアルバムにアップしました。
季節のせいもありますが、絵にしろ音楽にしろ、ロシアの作家が醸し出す深くあたたかなイメージは、なんという郷愁を帯びていることでしょう。そしてイマの作品は技術もデザインもしっかりしていて、かつ可愛くてユーモラス。いつまで見ていても飽きません。
彼女の日本での作品展示は今回が初めてではありません。1999年に、わがDFJが主催した「新世紀人形展」に彼女は応募し、大賞作家に選ばれました。この時の大賞作家は11人で、11人の審査員の名を冠した大賞のひとつを受賞したわけです。(審査は個人の主観的な評価の域を出ないという考えから、グランプリ大賞の枠は設けませんでした。)では、イマに大賞を贈ったのは誰か、というと、それは私です。外国人応募者で唯一の受賞者でした。地味でしたが「Who are you?」という作品は、彼女の今日の豊かな作品世界を暗示させるものでした。
ロシアで多くの展示を見ていると、説明が全部キリル文字なので誰のものでさえかも分からないものですが、面白いなと思った作品はたいてい、彼女のものだと後で知りました。
彼女もご主人と来日します。日本に来るのをとても楽しみにしています。

2009年1月4日日曜日

絶賛寄り道中

昨年から絶賛持ち越し中の宿題があり、正月早々、頭をかきかき、原稿書いてます。
「絶賛」は西村FELIZ語。DFJの「生きるって大変」連載時より、日常語になりました。彼の中南米の冒険記も、かな〜り危なおかしいけど、最近は彼が住む新宿のアパート近隣の怪しい住民観察記が面白いらしいです。更新の頻度は微妙らしく、それだけに貴重。うーん、読みたいと思いつつ、そこに行ったらはまずい。
そういえば、ロシアのイマ・ナロディツカヤからも写真が届いてるので、原稿が終わり次第、世界創作人形展のサイトにアップしたいと思います。
親父的駄洒落が止まらないのは、近所の茶飲み友達のひげきよさんの影響。
駄洒落マシンみたいなおじさんで、話をことごとく駄洒落で返されるので、こちらも駄洒落返しをしているうちに染まってしまいました。
さて、原稿に戻らねば。

2009年1月1日木曜日

謹賀新年

あけましておめでとうございます。
今日は東京は晴れて明るい日でした。
今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

羽関チエコ