2009年10月9日金曜日

第4回 人・形展 2

世界的にも冷え込んでいるといわれる人形市場で、勢いが目立つのがプラスチック・ドールやフィギュアです。第一回からこの分野については、DFJで「ドール・ドール・ドール」の連載を執筆した古村昌史氏のアドバイスで、その分野で活躍する方々に出品していただいてきました。
この分野ではキットを組み上げカスタマイズの技も競われていますが、「人・形展」は原型からフィニッシュまでを手がける実力のある方が前提となります。常連の桜文鳥さんに加え、今年は二人組のユニット「きのこジュース」や西織銀さん、みつばち@Baby BeeさんとHIrokoさんのユニットが初参加となりました。彼女たちが出品した作品は、みつばち@Baby Beeさんがデザインと原型制作したパジコが市販予定の球体関節人形キット「Alice Rock」をベースに特別にご本人がカスタマイズ、Momokoドールの立ち上げに関わったHIROKOさんが衣装制作したものです。また、石山裕記氏のフィギュアにおける技術力やユーモアな造形も見応えがあります。フィギュアが概念の直球描写にあるなかで、赤城時雨氏や月光社の作品はフィギュアと起点を共有しながら、自らの男性の視線を相対化しているようにみられました。それぞれに意図的な作意には、現代美術作品としても通じる要素を感じます。月光社の作品は大きいビスク作品ですので、技術・素材的にはフィギュアの範疇にくくるのは妥当ではないかもしれませんが、そのボディ・外見、かつ素材にロリータへの欲望を反映させている点で、私はフィギュアとの共通性を見ています。なおかつ創作人形の流行の体裁をとりながら人形における玩具性を抽出し、露骨にしている点に作家の意図があるのかと想像します。深読みかもしれませんが、そうだとすれば、創作人形にそこまでのロジックを託す作家は希であり、それこそ日本発のポップアート作品としての参考例になるのではないかと思います。